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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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566/695

奇跡のパーフェクト300!戦隊ヒロインが深夜番組で打ち立てた完全制圧の夜

――あの夜、レーンの音が変わった。


テレビ関東、通称“テレかん”。

慢性的な予算不足と蛍光灯のちらつきを抱える放送局が送り出す長寿深夜番組「スーパースターボウリング」。


平均視聴率は1.8%。

社内では“若者の野党第一党の支持率よりは高い”と自虐される程度の数字だった。


だが、その夜。

番組は歴史を作る。


■司会・定年間近アナの証言


「正直、最初はヒロイン枠だと思っていました。話題作りの。ですがね……彼女の目が違ったんですよ」


彼女とは、塩原結花。

那須塩原のお嬢様。

戦隊ヒロイン。

そしてプロボウラーを目指す少女。


番組特別企画――プロ・アマ混合オープン大会。

色物枠として出場したはずだった。


■現役プロの証言


「正直、ナメてました。テレビ枠だろって。でも3フレーム目で気づいた。あれ、本物だと」


第1フレーム。

わずかにリリースが早い。それでもストライク。


第2フレーム。

やや甘い回転。だがポケットへ吸い込まれる。


第3フレーム。

オイル変化。修正。


ストライク。


観客がざわつく。


■氷見ゆりえの証言


「最初は“結花ちゃん、すごいね〜”って感じだったんです。でも5連続あたりから、笑えなくなりました」


第4、5、6フレーム。

フォームは揺れない。

体幹が支える。

るみねぇの技術指導と、すみれコーチの軍隊式トレーニングが脳裏に浮かぶ。


6連続。


番組スタッフが慌てる。


「カメラ増やせ!」「アップで!」


■カメラマンの証言


「こんな緊張感、この番組で初めてでした」


第7フレーム。

明らかな厚め。

割れた、と思った。


奇跡的に全ピン倒れる。


ブルックリンストライク。


場内どよめき。


■常連おじさんの証言


「持ってるよ、あの子は」


8、9フレーム。

プロが静かに腕を組む。

芸人が祈る。

司会アナの声が震える。


9連続。


テレかんの深夜枠とは思えない静寂。


野村社長ノムさんの証言


「革命だ……革命が始まる……」


すでに半分トランス状態。


第10フレーム。


1投目。完璧。

2投目。内に入る。だが跳ね返るピン。


ストライク。


残り1球。


助走。


わずかに一歩目が長い。


誰も息をしない。


ボールがゆっくり曲がる。


吸い込まれる。


ガシャァァァァン!!


300。


パーフェクト。


■司会アナ


「……出ました」


言葉を失う。


次の瞬間、爆発。


観客総立ち。


ゆりえ号泣。


プロも拍手。


そして――


「革命だぁぁぁぁぁ!!」


野村ラッパ絶好調。


ボウリング場に響き渡る。


スタッフが小声で。


「また始まった」


だが今回は誰も止めない。


翌朝。


スポーツ紙一面。


「戦隊ヒロイン、深夜番組で300達成」


写真付き。


結花のフォームが大きく掲載。


テレかん社内は騒然。


「うちが一面!?」


視聴率は3.4%へ。


たった数%。


だがテレかんにとっては革命。


■ボウリング協会関係者の証言


「ヒロインとはいえ、300は事実。協会内もざわつきました」


正式記録扱いではないが、

無視できない出来事。


プロボウラー志望の少女が、

テレビ番組でパーフェクト。


「スーパースターボウリング」は徐々に息を吹き返す。


スポンサーが一社増える。

中古車販売店。


スタッフの目に光が戻る。


定年間近アナの声に張りが出る。


芸人も本気で練習する。


紅白歌手も再挑戦を申し出る。


■結花本人のインタビュー


「わたくし、奇跡とは思っておりません」


少し間を置く。


「積み重ねでございます」


そして、ほんの少しだけ栃木弁が混じる。


「やるっぺ、と決めただけです」


深夜1.8%の番組で起きた出来事。


予算もなく、スポンサーも少なく、

打ち切り濃厚だった番組。


だがそのレーンで、

確かに革命の音が鳴った。


野村ラッパは今日も響く。


「世界だ!世界だ!」


スタッフが苦笑する。


「はいはい」


だが誰も完全には否定しない。


あの夜、300は本物だったからだ。


深夜の小さなレーンから始まった物語は、

まだ終わらない。


レーンは静かだ。


だが、その静寂の向こうに――

次の革命が、きっと待っている。

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