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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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564/694

視聴率1.8%の逆襲!那須のお嬢様、深夜のレーンに革命を起こす

都内某所の年季の入ったボウリング場。

壁に貼られた番組ポスターには、どこかで見たことのあるロゴ。


――テレビ関東(テレビかんとう=通称:テレかん)

独自路線を行く一応民放キー局だが視聴率は常に民放最下位で振り向けば放送大学と言われているあの放送局。


深夜の長寿(?)番組

「スーパースターボウリング」。


業界内での通称は、

落ち目タレント救済番組の低予算番組。


出演者は実に豪華(いろんな意味で)。


・元紅白出場の演歌歌手(今は地方営業が主戦場)

・10年前のアイドル歌手(代表曲のサビしか思い出せない)

・一発屋芸人(ギャグのたびに微妙な空気)

・売れなくなった俳優(最近は健康食品CM中心)

・司会は定年間近のベテランアナ(半分悟りの境地)


視聴率は1.8%。


スタッフがつぶやく。


「まあ…若者の野党第一党の支持率(ほぼ0%)よりは高いっすけどね」


誰も笑わない。


空気が重い。


打ち切り目前。


そこに現れたのが――


戦隊ヒロインチーム。


塩原結花。

氷見ゆりえ。


ゆりえは童顔スマイルで手を振る。


「がんばります〜!」


結花は凛と一礼。


「ごきげんよう。本日はよろしくお願いいたしますわ」


だが収録が始まると、番組の雰囲気は相変わらず低空飛行。


紅白歌手の思い出話。

芸人の空振りギャグ。

俳優のぎこちないフォーム。


ボールはガーターへ。


パラパラ拍手。


結花は静かに拳を握る。


(このままでは、レーンが泣きますわ)


スポ根魂、点火。


第一投。


助走は低く、安定。


リリース。


ボールが美しい弧を描く。


ガシャァン!!


ストライク。


スタジオが一瞬ざわつく。


司会のベテランアナの目が開く。


「おおっ…これは本格派ですね」


二投目。


再びストライク。


一発屋芸人が焦る。


「ちょ、主役そっち!?」


結花は優雅に微笑む。


「ピンも空気も、倒しますわ」


小さな笑いが起きる。


番組に、久々の熱。


ゆりえも堅実にスペアを重ねる。


「わたしも負けないです〜!」


ヒロインチーム、じわじわリード。


最終フレーム。


結花、深呼吸。


るみねぇの言葉が蘇る。


“轟かせろ”


投球。


鋭い回転。


ガシャァン!!


完璧なストライク。


観客席が沸く。


敢闘賞、戦隊ヒロインチーム。


番組の空気が、明らかに変わっていた。


その瞬間。


ロケ地のボウリング場の後方から、突如立ち上がる人物。


ブラックキャッププロダクション社長――野村吉彦。


通称、ノムさん。


「やっぱりなぁぁぁ!!」


現地で野村ラッパが吹き荒れる。


「革命だ!ボウリング界に革命が起きる!戦隊ヒロインとレーンの融合!スポンサーも世界もついてくる!」


場内に響き渡る声。


スタッフが顔を見合わせる。


「また野村ラッパか…」


演歌歌手が苦笑。


芸人が小声で。


「革命より視聴率…」


スタッフがぼそり。


「1.8%です」


ノムさん、胸を張る。


「若者の野党第一党の支持率より高いだろ!」


場内、微妙な笑い。


「比較対象がおかしい…」


だが、確かに。


番組は久々に“生きて”いた。


スタッフの目に、わずかな希望。


司会アナも柔らかい表情。


「いやあ、若い力は番組を救いますね」


収録後。


ゆりえが結花の手を握る。


「結花ちゃん、すごかったよ」


結花は静かに微笑む。


「皆さまのお力あってこそですわ」


そして、少しだけ栃木弁が混じる。


「……やるっぺ」


視聴率1.8%。


だが、その1.8%の中に確かな熱があった。


テレビ関東の深夜に、

那須のお嬢様が、そっと春を呼んだ。


レーンは静か。


しかし、その一投は確かに轟いた。


革命は、意外と地味な音で始まるのかもしれない。

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