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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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561/694

ストライクは気品で狙え!那須のお嬢様、レーンに立つ

那須塩原の風は、どこか涼しい。

その風をまとったまま、戦隊ヒロイン最年少・塩原結花は、北関東を駆け抜けてきた。


「北関東スリーアローズ」として。


すみれコーチの鬼特訓、

山口唯奈の爆走ドライビング、

そして時には白河の関を越えて福島県へ。


「関所、突破ですわ!」


と言いながら、実際は高速道路を普通に走るだけなのだが、気持ちは幕末志士である。


唯奈はその後、ドリームトラクター「蒼牙2000・改」のドライバーに抜擢。

戦闘任務での冷静なハンドリングは、すでにヒロ室の信頼を一身に集めている。


「唯奈さん、かっこよろしいですわ……!」


結花は素直に尊敬する。


一方、彼女自身はどうか。


身体能力は高い。

乗馬、ゴルフ、スキー。足腰は鉄壁。

だが――


「一芸が足りねぇなぁ、結花」


ある日、るみねぇこと木戸瑠美が言った。


いわき訛り混じりの福島弁で、にこにこしながら。


「ヒロインやるならさ、誰も持ってねぇ武器、ひとつ持ったほうがええべ?」


結花は首をかしげる。


「武器……ですの?」


すみれコーチも腕を組む。


「何だ、格闘技か?槍術か?アーチェリーか?」


るみねぇ、満面の笑み。


「ボウリングだっぺ!」


沈黙。


「……は?」


すみれコーチの眉が動く。


「ボ、ボウリング……ですの?」


結花の頭上に、疑問符が三つほど浮かぶ。


るみねぇは続ける。


「いやいや、結花、足腰強いし体幹も安定しとっから、絶対いけっぺ。んで、オレ、知り合いにプロおんだ。定期的に指導もできっから」


すみれコーチが小声で呟く。


「……戦隊ヒロインとボウラーの二刀流……?」


結花は真剣に考える。


「ボールを……転がしますの?」


「投げるんだっぺ!」


「転がすのではなく……投擲……?」


「そこまで上品に言わなくていいべ!」


ヒロ室は、またしても奇妙な方向へ動き始めた。


初練習日。


那須塩原のボウリング場。


結花は、最新型のボールを前に、深呼吸。


「では……参りますわ」


助走。


足取りは完璧。

姿勢は優雅。


投球。


ゴロッ。


……スピードが足りない。


ピンが、二本だけ倒れる。


「惜しい!」


るみねぇが拍手。


「惜しくねぇよ!」


すみれコーチが突っ込む。


結花、真顔。


「なるほど……意外と難しいですのね」


そこから、特訓が始まった。


るみねぇが横で声を飛ばす。


「もっと腰落としてけろ!体幹活かすんだっぺ!」


「こう……でございますか?」


「そうそう、ええ感じだべ!」


福島弁とお嬢様言葉が飛び交う。


奇妙な空間。


すみれコーチは腕を組んで観察。


「フォームは悪くない。だが回転が足りん」


「回転……ですの?」


結花、真剣。


「わたくし、回転は得意ですわ。スキーでターンを――」


「違う違う違う!」


数週間後。


結花のフォームは、すでに美しい。


助走の安定感、

腕の振り、

リリースの瞬間。


るみねぇがニヤリと笑う。


「いくべ、ストライク」


結花、集中。


「いざ……!」


ボールがレーンを滑る。


美しいカーブ。


バシャン!


ピンが一斉に倒れる。


ストライク。


沈黙。


結花、ぽかん。


「……倒れましたわ」


るみねぇ、ガッツポーズ。


「ほら見ろ!言ったべ!」


すみれコーチも思わず笑う。


「やるな、お嬢様」


結花は小さく拳を握る。


「これは……楽しいですわ」


そして、少しだけ栃木弁が混じる。


「なんか……クセになりそうだんべ」


るみねぇが吹き出す。


「出たな栃木!」


かくして。


戦隊ヒロイン最年少・塩原結花。


目指すは、空前絶後の


戦隊ヒロイン兼プロボウラー。


北関東スリーアローズは、新章へ。


唯奈は蒼牙2000・改を操り戦場を駆ける。


結花はレーンの上でストライクを狙う。


戦場とボウリング場。


どちらも、足腰が命。


そして那須のお嬢様は、今日も真剣だ。


「わたくし、必ずやプロになりますわ」


少し間を置いて、


「……やるっぺ」


静かな闘志。


レーンの向こうには、まだ見ぬ未来。


ピンが倒れる音が、

まるで号砲のように響いていた。

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