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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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【きのこ・たけのこ戦争】 第一部・開戦 ヒロ室大分裂!甘味覇権戦争開戦前夜 ― クラッカーは火種だった

ヒロ室には、静かに積み重なってきた“恨み”があった。


それは任務の過酷さでも、予算の少なさでもない。


——おやつが、ショボい。


会議机の中央に鎮座するのは、いつも同じ箱。

当たりM田のクラッカー。略して“当Mク”。


パリッ。

サクッ。

……以上。


甘くもなければ、驚きもない。情緒もない。夢もない。


「なあ、またこれかいな……」


赤嶺美月がクラッカーを見下ろす。

河内弁のボルテージは、すでにレッドゾーンだ。


「文句あるなら自腹切れや」


播州の烈火・西川彩香が冷たく言う。

だが彼女の手も、クラッカーに伸びる。結局食べる。


理由は簡単だ。

予算がない。


「戦隊ヒロインプロジェクトは国民の皆さまの血税で運営しています」


泉州の経理・谷口佳乃——通称けちのんが淡々と言い放つ。


「ほな血税で夢くらい買わせてや!」と美月が叫ぶ。


その日、奇跡が起きた。


会議机の上に、見慣れぬ箱が二つ。


チョコ菓子。

きのこ型。

たけのこ型。


沈黙。


ヒロ室の空気が変わる。


「……久々の甘味や」


美月が震える声で言う。


「ええやん」


彩香の目が光る。


運命の瞬間。


美月が箱を掴んだ。


「たけのこ一択やろ!」


彩香がもう一方を確保する。


「きのこや。形状的に合理的や」


ここで止まれば、ただの子供の口論だった。


だがこの日、誰も止めなかった。


館山みのりが静かに言う。


「たけのこは食感の完成度が高い」


杉山ひかりが眼鏡を上げる。


「きのこのバランス設計は理にかなっています」


グレースフォース、分裂。


「え、ちょっと待って?」と小春。


「え、これ派閥になる流れ?」と麗奈。


甲斐の疾風・小宮山琴音が呟く。


「戦隊ヒロインプロジェクトは金はねえけど夢はあるじゃんけ。たけのこは夢があるじゃんけ」


「理屈が破綻しとる!」彩香がツッコむ。


港区女子・柏木理世が腕を組む。


「きのこは構造的に優美ですわ」


千葉の叡智みのりが反論。


「いや、文化的厚みはたけのこにあります」


いつもなら、真帆さんが間に入る。


だが今日に限って——


「……私は中立よ」


真帆さん、逃げた。


隼人補佐官が小声で呟く。


「これは外交問題になるな……」


ヒロ室は、真っ二つに割れた。


【たけのこ派】

美月(感情論代表)

みのり(理論武装)

麗奈なんとなく

小春(流され系)


【きのこ派】

彩香(合理主義)

ひかり(データ分析)

理世(美意識)

琴音(謎理論)


けちのん「どっちも高い」


火に油。


「ほな多数決や!」美月が叫ぶ。


「多数決は民意の暴走を生む」理世が反論。


「今言うことちゃうやろ!」


机を挟んで睨み合う二大勢力。


その横で、当Mクが静かに転がる。


蒼牙2000・改(遠隔モニター)

「私には理解できません」


ついに美月が宣言する。


「これは戦争や!」


彩香が腕を組む。


「受けて立つ」


ヒロ室、開戦。


そのとき、遥室長がぽつりと呟いた。


「……これ、各省庁連携案件より難しくない?」


誰も答えなかった。


こうして、国家任務よりも深刻な内戦が始まった。


きのこか。

たけのこか。


クラッカーは、静かに棚へ戻された。


——第一部、開戦。


そして誰もまだ知らない。

この戦争が、ヒロ室の予算、友情、百合関係、そして胃薬消費量にまで影響を及ぼすことを。


甘味覇権を巡る戦いは、まだ始まったばかりである。

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