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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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555/693

真昼のスカイライン、理知の狙撃 ― サンライト・シグナル・ブレイク

真昼の都心。

ガラス張りの高層ビルが、青空を切り取るスカイライン。

屋上ヘリポートを備えた複合ビル群。その一角が、ジェネラス・リンク傘下の武装グループに占拠された。


人質はゼロ。だが、屋上には高出力の電波ジャマー。

周辺の通信が遮断され、街は沈黙寸前。


屋上へと続く非常階段の踊り場。

白いコートが風に揺れる。


「行きますよ、みのり」


「もちろん、ひかり」


二人は同時に前へ出る。


「千葉の叡智・館山みのり」


「駿河の良心・杉山ひかり」


名乗りは、必ずセット。

儀式のように。


敵リーダーが吹き出す。


「千葉? あの、ディズニーしかない県?」


空気が凍る。


みのりの口元が、にっこりと上がった。


「…もう一回言って?」


ひかりが小声で制止する。


「みのり、冷静に」


「冷静だよ。今から“理知的に”説明するだけ」


敵が肩をすくめる。


「田舎者の何が怖い」


次の瞬間。


みのりの目が変わった。


「千葉県の製造品出荷額は全国上位。成田空港の国際物流、京葉工業地帯の生産力、農業産出額も全国トップクラス。あと、落花生は文化」


「最後それ?」


ひかりが小声でツッコむ。


だが止まらない。


「房総半島の地形的優位性、三方を海に囲まれた海洋資源、そして――」


敵が叫ぶ。


「うるさい!」


みのりが一歩踏み出す。


「千葉を小馬鹿にする人に、理屈で負けたことないから」


そして――


「房総大演舞」


真昼の屋上。

青空の下、回転。踏み込み。

優雅で、しかし荒々しい。


房総ならぬ暴走。


敵が次々と武装解除。

「なんだこの説得力と物理力のハイブリッドは!」

と悲鳴を上げる。


ひかりは冷静にジャマー装置へ。


「周波数は二重構造。なるほど」


キーボードを叩く。


「みのり、あと三十秒持たせて」


「任せて。今ちょうど銚子の漁業の話に入るところ」


「長い」


敵が最後の抵抗。

背後から襲いかかる。


ひかりが振り返らずに言う。


「左後方、三歩」


みのりが体をひねる。


「見えてる」


蹴り。

制圧。


ジャマー停止。


街に通信が戻る。

サイレンが遠くで鳴り始める。


屋上の風が、二人の髪を揺らす。


みのりが笑う。


「やっぱり、ひかりがいると完璧だね」


「あなたが暴走するから、私が狙撃するんです」


「狙撃って」


「理知の狙撃です」


二人は並んでフェンスにもたれる。


遠くに広がるスカイライン。


みのりがぽつり。


「さっきの“ディズニーしかない県”は、ちょっと本気で腹立った」


「わかります」


「でも」


「でも?」


「あなたが横にいたから、怒りもちゃんと武器になった」


ひかりが微笑む。


「みのりを侮辱することは、統計的に許容できません」


「統計的?」


「私の中で」


一瞬、視線が絡む。


サイレンが近づく。


みのりが軽く肩をぶつける。


「杉山」


「はい、館山」


「次はどこ?」


「どこでも」


「即答?」


「あなたが隣にいるなら」


みのりが照れ笑い。


「それ、ずるい」


ひかりが少しだけいたずらっぽく。


「千葉アゲ、続けますか?」


「やめて。今日はもう十分」


二人は階段へ向かう。


背後に青空。


真昼の光が影を伸ばす。


みのりが振り返らずに言う。


「ねえ、ひかり」


「なんですか」


「千葉も静岡もさ」


「はい」


「私たちが守る街ってことで、よくない?」


ひかりは一拍置いて。


「ええ。共同所有で」


「それ、法的にどうなの?」


「心の話です」


みのりが笑う。


「悪くない」


階段を降りる二人。


軽やかで、強くて、ちょっとだけ甘い。


真昼のスカイラインに残るのは、静と動の余韻。


千葉の叡智。

駿河の良心。


そして――


理知と暴走の、完璧な包囲網。


今日もまた、

二人だけのバディは、街を救ってしまった。

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