“川崎ゆる勇伝・MIO報”――盛りすぎ会報、知らんけど。――
川崎市幸区の片隅で、
水無瀬澪後援会会報「MIO REPORT」
の創刊号がひっそりと印刷された。
発行部数・一応1000部。
※配る場所:市内の銭湯、理髪店、パチンコ屋、動物病院など。
ファンクラブではなく後援会という時点で
そもそもの毛色が違う。
■【索引①:会長あいさつ(誰も読まない)】
見開き二ページぶち抜きで載っているのは、
助役でもある後援会会長の固い挨拶文。
文章はひたすら長い。
「市政とヒロイン活動が調和し、地域の安全と文化の発展が……」
――読者の90%が一行目で読むのをやめる。
銭湯のおじいちゃんは
「文字が多すぎて気持ち悪くなった」
と言いながら回覧板みたいに隣に渡した。
それでもなぜか見開き中央にドーンと置かれ、
“鎮座”という言葉が妙にしっくりくる存在感を誇る。
■【索引②:水無瀬澪の活動報告(大袈裟)】
会報の中心を飾るのがこれ。
大本営発表より盛っている。
例えばジェネラスリンクとの戦闘報告。
実際
・館山みのりが千葉愛で敵を10秒で殲滅
・澪は5メートル離れた場所で見学
・発言「なんか、もう終わった? 知らんけど」
会報
「澪氏、敵部隊の動線を完全に封じる!」
「高度な千葉・川崎連携を演出!」
「その存在感が戦局を左右した!!」
存在感……というか、ただ“居ただけ”である。
■【索引③:市内イベント参加(誇大報告)】
澪はとにかく呼ばれたら行く。
・地元の公園の盆踊り
・商店街のフリマ
・ゲートボール大会の線審
・交通安全週間のチラシ配り
・銭湯の新しいケロリン桶除幕式(?)
※ヒロインとしては地味すぎる役割も多い。
会報はそれをこう書く。
「市民の心に寄り添う英雄」
「地域の未来を切り拓く存在」
「澪氏、ゲートボールの審判で高齢者の心をつかむ!」
実際の澪は
「ゲートボールってルールむずすぎ。
知らんけど」
と呟きながら、終始棒立ちだった。
■【索引④:今後の活動方針(未来予想図は盛りすぎ)】
未来の予定まで豪快に盛る。
「川崎から世界へ。澪氏、国際イベント進出へ!」
「AIとの連携で戦闘力の飛躍的向上を図る」
「いつかラゾーナ川崎で単独ライブを開催」
※AI連携=市役所のAIチャットボットを使ったアンケート回答のこと。
※単独ライブ=多分やらない。
澪本人は苦笑い。
「そんな予定聞いてないけど……」
■【索引⑤:地元情報コーナー(なぜこれを載せた?)】
ここだけ異様に熱が入っている。
・パチンコ屋の新台入替日
・近所の居酒屋の「串カツ半額」
・町内会のどんど焼き
・古本市
・保護猫の譲渡会情報
・コンビニ弁当のセール
・不用品交換会のお知らせ
ヒロイン後援会の会報のはずなのに、
“川崎区の暮らし便利情報誌”として機能しはじめている。
銭湯の常連たちには好評。
■【索引⑥:川崎市からのお知らせ(完全に市報)】
・市バスの系統変更
・粗大ごみの出し方
・区役所の窓口時間
・市民講座の募集案内
ここまで来ると、
もう“後援会会報”なのか
“市報の私家版”なのか分からない。
■【創刊号の結論】
澪は、相変わらず。
会報を読んでひとこと。
「私、こんなに活躍してたんだ……。
知らんけど」
読む市民たちはクスクス笑い、
配布された銭湯では
「この会報、毎号面白いから風呂上がりに読むのが楽しみ」
「澪ちゃんの“近くにいただけ参戦”がまた見たい」
など妙な人気を獲得。
こうして――
水無瀬澪後援会会報は、
川崎で最も読まれる“誇大妄想×生活情報誌”へと成長した。




