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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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549/695

駿河湾の静、東京湾の智 ― 目で会話する二人が海を制圧した日

東京湾の沖合、巨大な海上エネルギープラント。

白いタンクと鋼鉄の足場が林立し、昼は青空、夜は工業灯が海面を照らす近未来の要塞だ。首都圏の電力を一部担う重要拠点であり、観光船が遠巻きに眺めることもある“海の城”。


そこが、ジェネラス・リンク傘下の武装集団にジャックされた。


「発電制御室、占拠!」「作業員は拘束中!」

無線が騒ぐ。


荒れる海。

波高し。風強し。船酔い指数やや危険。


そんな中、操舵輪を握るのは、船舶免許保持者・河合美音。


「波、読むよ。三拍子で揺れるから、踏ん張って」


冷静沈着、音楽家気質の彼女はリズムで波を制す。

後方では、美月が「揺れすぎや!」と騒ぎ、小春がテンション高めに「海上ライブみたい!」と叫び、彩香は腕を組んで無言で耐え、唯奈は「これ絶対酔うべ」と茨城弁で顔色を変える。


その中央、静かに立つ二人。


駿河の良心・杉山ひかり。

千葉の叡智・館山みのり。


風に髪をなびかせ、言葉はない。


ただ、視線が交わる。


0.5秒。


ひかり、左に視線を流す。

みのり、ほんの僅かに顎を引く。


「……え、今ので通じたの?」と美月。


美音が小さく呟く。

「うん、今のは作戦確認」


船がプラントに横付け。


跳躍。


足場に着地した二人は、ほぼ同時に動く。


武装集団が銃口を向けるが、みのりが足場の構造を瞬時に把握。

ひかりが死角を計算し、風向きと波の周期まで織り込んで動線を提示。


声はない。


ただ、目。


ひかりが一瞬だけ瞬きをする。

みのりが微笑む。


次の瞬間、房総大演舞が海風を裂く。


鉄パイプが舞い、敵が海面に叩き落とされる。

ひかりは冷静に制御室へ侵入、制御パネルを奪還。


「出力、安定。爆発リスクなし」


「さすが駿河の静」


「さすが東京湾の智」


二人の世界、完全展開。


プラント上部で最後の敵が叫ぶ。


「なんだこの連携は!?」


ひかり、静かに。


「長年の信頼関係です」


みのり、さらりと。


「毎日最低五回は連絡してますから」


敵、意味が分からず降伏。


戦闘終了。


船上で見守っていた美音が呟く。


「……目で会話してたよね?」


彩香が腕を組む。

「高度すぎて腹立つわ」


唯奈が首を傾げる。

「さっき、まばたきで命令出してたべ?」


小春はキラキラした目で言う。

「これ、ラブテレパシーってやつ?」


蒼牙2000・改の無機質な声が響く。


「解析不能。二名間の情報伝達、可視化不可」


夕焼けが海面を染める。


戦いの後、拘束された作業員を解放し、安全確認を終えたグレースフォースは足場の端に並ぶ。


波は穏やかになり、赤く染まる水平線。


みのりが海を見つめる。


「東京湾、きれいだね」


ひかりが微笑む。


「駿河湾も負けてないよ」


「うん。でも今日は、ここが好き」


風が吹く。


ひかりが小さく呟く。


「囲まれても、海の上でも、みのりがいれば怖くない」


みのりがそっと手を重ねる。


「ひかりを守るのは、私の役目」


背後でヒロイン達がひそひそ。


「……入る?」

「いや無理」

「空気が尊い」


蒼牙2000・改、再び。


「警告:百合濃度上昇。処理不能」


夕焼けの海に、二人の影が重なる。


駿河の静と東京湾の智。

目で会話し、海を制し、そして今日も静かに手を握る。


プラントは無事奪還。


そして、百合濃度もまた、過去最高を更新した。

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