無気力ヒロイン後援会、まさかの発足! ――知らんけど――
作者は川崎出身で川崎育ちです。
まぁ知らんけど。
川崎市役所・5階大会議室。
普段は条例説明会や地味なセミナーしか開かれない場所に、
今日は電撃的な熱気がこもっていた。
壇上では、助役が腕を組み、妙に誇らしげに宣言する。
「本日――
水無瀬澪後援会を正式に発足します!」
集まった市職員と地域団体の人々のどよめきが広がる。
「……え、後援会って、ファンクラブじゃなくて?」
「公費は使わないって言ってたけど、どう見ても会議室の電気代は税金よ?」
「澪ちゃん人気あるの?」
「知らんけど」
と情報が錯綜するなか、当の本人――水無瀬澪(無気力で有名)が後方の椅子でボソッ。
「こんな大げさなことする必要ある?
……まぁ、川崎だし。」
助役はその一言に即座に食いついた。
「ほら!これだ!
この“やる気のなさ”が、逆に川崎の魂なんだ!」
「……いや、そんな解釈あった?」
市職員が突っ込みきれず、ざわつく会場。
■ 会員制度がカオス
助役がホワイトボードをくるっと返すと、
そこには妙に細かい後援会会員制度がぎっしり。
① 法人会員(年会費:50,000円)
・市内企業限定
・公式パンフレットに社名掲載
・澪の「知らんけど」サイン入り色紙
・澪ぬいぐるみ(無表情)
② 家族会員(年会費:3,000円)
・親子で加入するとちょっと安くなる
・澪直筆の「まぁ川崎だし」カード
・家族写真風の澪ブロマイド
※澪は椅子に座って無表情
③ 一般会員(年会費:1,000円)
・後援会ニュースレター
・会員限定ステッカー「知らんけど」
・澪の任務スケジュール(8割が地味)
④ 無料会員(年0円)
・メルマガのみ
・澪の“やる気のない自撮り”が稀に届く
――と、まるで町内会の大規模版。
そして最大の目玉は入会特典。
澪の制服カラーを再現したサックスブルーのTシャツだ。
袖には
川崎市市章+漢字で「川崎市」
デカデカと入っている。
これを見るや、澪は眉ひとつ動かさずに言った。
「なんで袖に市章……?
まぁ、川崎だし。知らんけど。」
職員たちは「出た……!」と感動すら覚える。
■ 地味すぎる後援会活動
助役のプレゼンは続く。
「後援会の皆さんには、
澪さんの活動を温かく見守っていただきます!」
スクリーンには澪の活動実績が映し出される。
・町内会の盆踊り 太鼓係(裏方)
・老人クラブのゲートボール線審(旗を上げるだけ)
・地域防災訓練の非常食クラッカー配布係(渡すだけ)
・市民文化祭のステージ設営補助(黙々とパイプ椅子を並べる)
会場がざわり。
「……地味!」
「ヒロインの仕事じゃないよね?」
「これは地味すぎる……!」
「まぁ、川崎だし」
「知らんけど」
後方の澪はポツリ。
「私、これ向いてるんだよね。黙々とやるだけだし。」
助役は胸を張った。
「そう!この“黙々力”こそが川崎市民の象徴!」
■ 盛り上がる会場、盛り上がらない本人
会議終盤、助役の声が響く。
「それでは澪さん、ひとことお願いします!」
澪はゆっくり立ち上がり、会場をゆるりと見回し、
気の抜けた声でこう言った。
「……後援会とか、よくわかんないけど。
まぁ、川崎だし。
よろしく、知らんけど。」
会場、大歓声。
助役、泣く。
職員、拍手喝采。
当の澪だけは、座りながら伸びをして、
「これ終わったら帰って寝たい……」
■ こうして「水無瀬澪後援会」は誕生した
市役所の政治力、地域団体の期待、
そして澪本人の無関心とゆるさが奇跡の融合を果たし、
**史上初、行政主導の“やる気のないヒロイン後援会”**は幕を開けた。
後援会のスローガンはもちろん――
「まぁ、川崎だし」
川崎市の未来は、
今日もゆるく、雑に、そしてなぜか希望に満ちていた。




