オペレーション・ファイアストーム ―霞ヶ関大炎上!新橋コマンドの逆襲―
新橋。
ヒロ室会議室。
そこは今、国家レベルの修羅場と化していた。
「所管はうちです!」
「いや主幹は我々だ!」
「予算措置の根拠を示してください!」
各省庁の担当者が一堂に会した連携大型案件。
だが連携とは名ばかり、実態は“責任の押し付け合い選手権”である。
怒号が飛ぶ。
机を叩く音。
資料が宙を舞う。
その中央で、安岡真帆は微動だにしない。
「皆さま、まずは目的を共有しましょう」
落ち着いた声。
しかし空気は重い。
隣で小宮山琴音が高速でメモを取り、ホワイトボードに整理していく。
「えーと、文化庁さんは広報面、経産省さんは産業振興、国交省さんは安全管理、ですね?」
甲州弁は封印。完全なる霞ヶ関モード。
隼人補佐官も加勢するが、火に油状態。
「このままではヒロインの出演は見合わせます」
その一言で室内が凍る。
同時刻。
パーティション一枚隔てたミーティングスペース。
「それウチのや!」
「先に取ったもん勝ちやろが!」
美月と彩香が“あたりM田のクラッカー”を巡り大乱闘。
「みのりん!止めてや!」
「え、私関係ないよ?」
麗奈は袋ごと抱えて逃走。
小春は実況。
「ただいまあたりM田のクラッカー争奪戦が勃発しております!」
国家級炎上と、駄菓子レベル炎上。
カオスである。
会議室では再び怒号。
「ヒロインのスケジュールが不透明だ!」
「責任所在を明確に!」
真帆が立ち上がる。
「では、我々が全体調整を担います」
静かな爆弾投下。
「その代わり、広報は一元化。安全基準は国交省準拠。予算は三省庁折半」
琴音が即座に資料を差し出す。
完璧な数字、完璧な工程表。
沈黙。
そこへ――
「真帆さーん!M田のクラッカー足りませーん!」
美月の絶叫が壁を震わせる。
会議室、完全停止。
真帆は微笑んだ。
「お見苦しいところを。ヒロインも真剣なんです」
意味が分からないが、場が和む。
隼人補佐官が小声で言う。
「国家案件とM田のクラッカーが同時進行とは」
琴音がさらり。
「ヒロ室は常にマルチタスクじゃんけ」
再び議論開始。
今度は怒号がない。
最終的に規模拡大、予算圧縮、責任分担明確化という奇跡の着地。
会議終了。
廊下に出た省庁担当者がぽつり。
「……ヒロ室、意外と頼れるな」
その頃ミーティングスペース。
M田のクラッカーの袋は空。
美月がぼやく。
「国の未来よりM田のクラッカーの未来が心配や」
波田顧問が腕を組む。
「政治ってのはな、炎を消す仕事だ。M田のクラッカーもな」
誰も意味を理解しない。
こうして、霞ヶ関大炎上会議は鎮火。
隣では最後の一枚を巡り再び火花。
国家と駄菓子。
どちらも守るのがヒロ室の宿命である。




