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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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53/443

『水無瀬澪、静かに効いてくる――川崎のサックスブルー、じわり人気上昇中』

作者は川崎出身で川崎育ちです。

まぁ知らんけど。

――哀愁と脱力の続篇――


水無瀬澪の魅力は何か?

派手な必殺技でもなければ、煌びやかなメイクでもない。


“飾らなさ”――これに尽きる。


命じられればどんな任務も、どれだけ理不尽でも、ただ一言。


「はいはい。」


理由は聞かない。文句も言わない。

ただ地味に、粛々と、誰よりも淡々と遂行する。


そんな澪には、戦隊ヒロインにあるまじき“雑なお仕事”が回ってくることも多い。


たとえば――


■ 地元盆踊り「焼きそば鉄板温度管理係」

「澪ちゃん、鉄板見ててね〜」

「はい。知らんけど。」

※延々と温度計とにらめっこするだけ。


■ 老人会ラジオ体操の“出欠ハンコ押し係”

「押すだけ?了解。」

※子どもでも務まる役割。


■ 川崎区“カブトムシ教室”の土入れ要員

「澪ちゃーん、この土ほぐしといて〜」

「はい……これはヒロインの仕事なん?」

「土は命だよ!」(指導員の熱意)

「……知らんけど。」


■ 地域防災訓練の“非常食のクラッカー配布係”

クラッカーをひたすら渡すだけ。

「はい、どうぞ。しけってます、知らんけど。」


ここまでくると戦隊ヒロインというより“便利な人”である。


しかし澪は終始穏やか。

むしろ楽しそうにさえ見える。


なぜなら彼女は本気でこう思っている。


「こういうの、嫌いじゃないし。

……知らんけど。」


そんな超脱力系の姿勢が、じわじわ市民の心を掴み始める。


最初は

「なんだこの青い子。やる気あんの?」

と冷ややかだった住民も、

澪が雑なイベントにも真顔で参加している姿にだんだんと親しみを覚え、


「なんか……可愛いな」

「頑張ってるってより、存在が面白い」

「川崎っぽい(褒め言葉)」


そんな声が少しずつ増えていった。


駅前の昭和横断幕は相変わらずダサいままだが、

少しずつ、澪の名を覚える市民が増えてきた。


その日の夕暮れ、

盆踊り会場で焼きそば鉄板の火を落としながら、

澪はぽつりと呟いた。


「知らんけど……悪くないな、こういうの。」


その横顔は、川崎のサックスブルーより静かで、

どこかじんわりと温かかった。


――人気は一気に爆発しない。

けれど、確実に、少しずつ。

澪は“川崎の人々の生活の隙間”に入り込みつつあった。

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