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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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令和ヒロインVS昭和のドン!真帆、板挟みで胃がキリキリ事件

ヒロ室に緊急招集がかかった。


原因は一人。


与党の重鎮、通称「裏の総理」と呼ばれる超大物代議士である。


七十代後半。声は低く、目は鋭く、握手は痛い。

そして価値観は――見事に昭和。


その代議士が、戦隊ヒロインプロジェクトの大型イベントに視察に来ることになったのだ。


真帆は額を押さえていた。


「……来るだけならいいのよ。来るだけなら」


問題は、その事前打ち合わせである。


応接室にて。


代議士はどっしり座り、ヒロイン達の資料をめくりながら言った。


「この子たちは元気があってよろしい。しかしだな」


嫌な予感しかしない。


「もっと根性を前面に出したほうがいい。若者は気合いだ」


真帆、にこやかに。


「はい、精神力は重要です」


代議士、続ける。


「あと、挨拶は腹から声を出せ。最近の若い子は声が小さい」


真帆、頷く。


(言っていることは間違っていない……)


しかし感覚が完全に昭和だ。


さらに代議士は続ける。


「ステージではな、まず君が日の丸を背負ってだな」


真帆、固まる。


「え?」


「愛国心を全面に出すのも大事だ。若者に示しをつける」


真帆、脳内フル回転。


(それは今やると炎上の火種になる……!)


しかし、代議士の言葉自体は間違っていない。

国を想う気持ちは尊い。

だが表現方法が完全に昭和。


ヒロ室に戻ると、美月が聞く。


「で、どないやったん?」


真帆は深呼吸した。


「日の丸を背負えと」


彩香が吹き出す。


「運動会か!」


みのりが冷静に。


「象徴的演出としては理解できますが、現代的配慮が必要ですね」


小春はノリノリ。


「それ、クラブDJ風にアレンジできるよ!」


唯奈が茨城弁で。


「背負うって物理的に? 旗ぶっ刺すんだっぺ?」


ヒロ室、カオス。


真帆は机を叩いた。


「落ち着きなさい!」


全員静止。


「代議士の言っていることは間違っていない。問題は“出し方”よ」


波田顧問が腕を組む。


「昭和は正面突破、令和は迂回戦術ってやつだな」


真帆はうなずく。


「そう。だからヒロイン達を守る。けれど代議士の顔も立てる」


板挟み。


しかも相手は後援会長を務める真帆の実家と深い縁がある大物。


本来なら頭が上がらない。


だがヒロイン達は守る。


真帆は決断した。


当日、イベント。


代議士が最前列に座る。


会場は緊張感に包まれる。


小春がMCを始める。


「本日は地域と未来をつなぐスペシャルイベント!」


ヒロイン達は腹から声を出して挨拶。


ここまでは代議士の要望通り。


しかし日の丸は出てこない。


代わりに、各地の特産品パネルが背後に掲げられる。


美月が叫ぶ。


「日本全国元気にするでぇぇぇ!」


彩香が続く。


「地元の誇り、全力応援や!」


みのりが理知的にまとめる。


「地域の力を未来へ」


代議士、頷く。


「うむ」


真帆、内心ガッツポーズ。


愛国心は“地域愛”に変換。


昭和精神は“地元魂”に昇華。


炎上回避、成功。


イベント後、代議士が言った。


「君はうまくやるな」


真帆は微笑む。


「いえ、ヒロイン達が優秀なだけです」


その背後で、乙実が小声で言う。


「真帆さん、顔色ちょっと悪いべ」


真帆は一瞬だけ力を抜いた。


「……胃がね」


波田顧問が笑う。


「永田町で鍛えられた胃袋も限界か」


乙実がぽつり。


「集落の長老の無茶振りも大変だったけど、これはレベル違うなぁ」


真帆は吹き出した。


確かに違う。


だがどちらも“人を想う気持ち”が根底にある。


昭和だろうが令和だろうが、本質は同じ。


ただ表現が古いだけ。


帰り際、代議士はヒロイン達に言った。


「若いの、元気でよろしい。これからも頑張りなさい」


ヒロイン達は元気よく敬礼。


真帆は一歩下がってその姿を見守る。


板挟み。

胃痛。

調整地獄。


だが守れた。


ヒロインも、代議士の顔も。


波田顧問がぼそっと言う。


「やっぱりお前は百人力だな」


真帆は肩をすくめた。


「……昭和と令和の通訳です」


その夜、真帆は胃薬を飲みながら呟く。


「お願いだから次は“根性論合宿”とか言い出さないで」


ヒロ室の明かりが静かに消える。


昭和のドンと令和ヒロイン。


その間で今日も戦う女、安岡真帆。


胃は痛いが、誇りは高い。


それが彼女の戦場だった。

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