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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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522/696

裏総理、降臨。——真帆、永田町仕込みの現場力で無茶振りを制圧せよ!

戦隊ヒロインプロジェクト史上、最大級の“気圧低下”が発生した日だった。


与党の重鎮、通称「裏の総理大臣」と呼ばれる超大物代議士が、ヒロ室を視察に来る——。


その一報が入った瞬間、ヒロ室フロントの空気は一変した。


「真帆さん……本物ですか?」


内田あかねが六法全書を抱えたまま震える。

高島里奈は無言でスケジュール表を修正し、波田顧問は腕を組んで天井を見上げた。


「来やがったか……永田町の怪物が」


だが、その中心に立つ安岡真帆は微動だにしない。


元大物代議士秘書。

しかもその代議士こそ、今回来訪する張本人。

さらに言えば——真帆の実家は土建屋で、その代議士の後援会会長を長年務めている。


本来なら、頭が上がらない立場だ。


しかし真帆は静かに言った。


「皆さん、通常運転でいきます。過剰演出は禁止。ヒロインを守るのが最優先です」


そして視察当日。


代議士は、昭和の風格そのままに現れた。

分厚いスーツ、鋭い目つき、背後には秘書団。


「うむ。若い子たちが頑張っておるな。ところでだ——」


ここからが本番だった。


「全員集合で写真を撮ろう。あと、子どもたちと握手会もやろう。記者も呼んでいる。段取りは任せた」


現場スケジュールはすでにギチギチ。

ヒロイン達は直前までリハーサル。


無茶振り、三連発。


美月が小声で「これ、無理やろ」と呟き、彩香が「はぁ?今から?」と眉をひそめる。


だが真帆は、にこやかに一礼。


「承知いたしました。先生のご配慮に感謝いたします」


その裏で、秒単位の指示が飛ぶ。


「里奈さん、タイムテーブル三分圧縮」

「あかねさん、記者動線整理」

「美月さん、笑顔三割増し」

「乙実さん、握手列の誘導をお願いします」


乙実は小声で「んだ……集落の長老の無茶振りも大変だったけど、これは格が違うべ」と呟きながら動き出す。


三分後、奇跡のように段取りが組み替えられた。


写真撮影は完璧。

握手会は混乱ゼロ。

記者も満足。


代議士は満足げに頷く。


「うむ。やはり安岡くんがいると違うな」


その一言で、秘書団が一斉にメモを取る。


だが真帆は淡々と返す。


「いえ、ヒロイン達の努力の賜物です」


ヒロイン達を前面に立て、政治家の顔も立てる。

どちらも潰さない。


波田顧問が横でぼそり。


「この調整力は、永田町で鍛えられた賜物だな……」


イベント終了後。


控室でヒロイン達が一斉に崩れ落ちる。


「真帆さん……すごすぎる」

「政治って、ああやって乗り切るの?」

「胃が痛くなるわ」


真帆は涼しい顔。


「昔はもっと無茶振りありましたから」


乙実がぽつり。


「うちの集落の長老も、祭りで突然演説始めたりしたけど……レベルが違うべ」


美月が笑う。


「乙実ちゃん、比較対象がおかしいねん」


そのとき、波田顧問が缶コーヒーを片手に真帆へ近づく。


「おい、安岡。今日はヒロイン守ったな」


真帆は少しだけ笑った。


「当然です。ヒロインは前に立つ人間。盾は私の役目です」


遠くで、代議士の車列が去っていく。


嵐は過ぎた。


だがヒロ室の面々は、今日一番の教訓を胸に刻んでいた。


——本当に怖いのは怪人でもテロリストでもない。

永田町の“笑顔の無茶振り”である。


そしてその前線に立つのが、

敏腕フロント、安岡真帆。


乙実は静かに思った。


「派手に目立たなくても、裏で支える人が一番強ぇんだな……」


一方、真帆はスマホを見つめる。


次の予定。

国会議員の懇談会。


小さく息を吐いた。


「……次も無茶振りですね」


それでも歩みは止まらない。


ヒロイン達を守るため、

政治家を立てるため、

そしてこの大所帯を前へ進めるため。


永田町仕込みの現場力は、今日もフル回転だった。

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