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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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50/453

ハマを名乗る女、畑とマムシに囲まれて

横浜の新たな戦隊ヒロイン・南部沙羅(22)。

その第一声は堂々たる宣言だった。


「わたくし? ハマのスターフォールよ。

 ヨコハマの風と海をまとって生まれた戦士だから。」


月島小春と館山みのり、そして大宮麗奈。

三人はそろって「へぇ~」と微笑んだが、心の声は一致していた。


(……この人、絶対なんか盛ってる。)


遥広報官も苦笑いで紹介を続ける。


「沙羅さんはですね、横浜市……の、えー……その……“端っこ”の方にお住まいでして」


沙羅がすかさず食い気味に訂正する。


「“サバーブス”って言って?

 横浜のベッドタウンでありながら、

 自然の恵みと都会性が調和したエリアなの」


しかし麗奈がスマホで地図を見て、冷静に一言。


「……これ、ほぼ隣の市じゃない?

 ていうか畑の方が多くない?」


みのりも畳みかける。


「ここ“横浜駅から私鉄で30分+バス20分”って書いてあるんだけど……

 沙羅さん、コンビニまで自転車で10分って本当?」


沙羅は胸を張った。


「違うわよっ! 8分よ!」


(そこ短くしても都会にはならない)


一同の総ツッコミが脳内で鳴り響く。


さらに遥広報官が追い打ちをかける。


「“マムシ注意”の看板が近所にあるって聞きましたけど?」


沙羅は即答した。


「それは……風光明媚な土地柄だからよっ!」


麗奈が吹き出した。


「ハマにマムシって出るの?」


「出るわよ! 横浜の自然は深いの!

 ほら、港町って奥が深いじゃない?」


(マムシの深さじゃない)


みのりは温厚そうな顔をしながら冷静に指摘した。


「ちなみに、沙羅さん英語得意って聞きましたけど……TOEIC650点?」


「あれは……あの……その……

 わたし、発音はネイティブ級だから!」


麗奈がじっと見つめる。


「“ネイティブ級”で『サブウェイ』を“サブエイ”って言ってたよね?」


沙羅は真っ赤になりながら叫んだ。


「……イントネーションが複雑なのよ!」


さらに「武術の達人」を自称する件にも話題が及ぶ。


小春が優しく聞く。


「沙羅ちゃんって格闘技強いの?」


「もちろん! ハマの夜風のようにしなやかで――」


澪が無表情でボソッと呟く。


「ミット打ち、全然当たってなかったけど……」


(致命的すぎる)


沙羅は背筋を伸ばし、悔し涙すらキラリと光らせながら言い放つ。


「わたしは! ハマのプリンセスなの!

 ハマのスターフォールなの!

 都会の風を吸って育ったのよ!」


その瞬間――

みのりがボソッと落としたひと言が会場を凍らせた。


「……“都会の風”って、

 これ、畑の風じゃない?」


沙羅の怒りが爆発した。


「なんでよおおおおおお!!

 ハマなの! ヨコハマなの!!

 うちは“港の都”の民なのぉ!!」


麗奈が肩を叩いて慰める。


「大丈夫……“気持ちは”横浜だよ……」


遥広報官も優しい笑顔で言った。


「まあ“そういうこと”にしとくで……」


こうして、

実態は郊外の田園住まい、

 心だけ大都会・横浜のプリンセス、


南部沙羅は今日も自信満々に名乗る。


『YOKOHAMA STARFALLヨコハマ・スターフォール


――ただし、最寄りの私鉄系スーパーは19時半閉店である。

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