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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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499/697

差し入れ一箱で世界が燃えた日――ビーチ隼人、露骨すぎて炎上

地方イベントの控室は、表向きは平和だった。

だがその空気の下には、子供じみた冷戦が静かに、しかし確実に続いていた。


発端は言うまでもない。

ビーチ隼人補佐官問題である。


「今日も空気ピリついとるなぁ……」


小春が小声で言うと、

美月が腕を組んで鼻で笑った。


「当たり前や。

あっちは“千円罰金戦争”で一回も勝ててへんからな」


みのりが理知的に補足する。

「冷戦とは、直接衝突せず、嫌がらせを積み重ねる状態を指します」


「今まさにそれや」


■運命の差し入れ到着


そこへ、スタッフが声を上げた。


「補佐官から差し入れでーす!」


一同の視線が、箱に集中する。


「来た……」

「何持ってきよったんや……」


箱が開く。


まず、美月・小春・みのりの前に置かれたのは――


あたりMだのクラッカー。


「……は?」


美月が箱を覗き込み、静かに言った。


「これ……駄菓子棚の一番下のやつやん」


小春も固まる。

「……イベントの差し入れで、これ……?」


みのりは冷静に分析した。

「原価は推定百数十円。保存性のみが取り柄ですね」


「別にいらんわ~」

美月は箱を押し返した。


■中立国、満足


一方、香澄と詩織の前に置かれた箱。


開けると、

そこそこ有名な洋菓子店のスイーツ。


「わぁ……!」

詩織の目が輝く。

「美味しい……幸せ~」


香澄も頷く。

「これは普通に嬉しかね」


この時点で、格差はすでに明確だった。


■そして、問題の一箱


最後に、

蛯沢紗耶の前に置かれた箱。


――デパ地下仕様。


包装紙からして違う。

リボン付き。

紙袋も分厚い。


箱を開けた瞬間、

控室の空気が一段階下がった。


「……露骨やな」


美月が呟く。


「……あからさまですね」


みのりもため息。


紗耶は慌てる。

「えっ、あの……私だけ……?」


「気にせんでええよ」

香澄がフォローするが、

美月の目は完全に据わっていた。


■美月、反撃開始


「なぁ、ビーチさん」


美月がにこやかに近づく。


「その差し入れ、誰が選んだん?」


「……さぁ~?誰でしょう?」


「へぇ~。

じゃあさ、さゆ……」


「その手は桑名の焼きハマグリ!」


即座に返される。


「チッ!」


「早すぎるわ!」

「惜しい!」


■隼人、余裕の防御


「学習したんだ」


隼人は静かに言った。


「誘導尋問には乗らない」


「くっ……!」


美月は歯ぎしり。


「ほんまにムカつくわこの男……」


■炎上、本人に届く


紗耶は困り果てていた。


「……あの、皆さんで分けても……」


「それはあかん!」

美月が即答。


「それやったら、差別を認めたことになる」


「理屈がおかしい!」


■冷戦、さらに深まる


結局、

紗耶の豪華スイーツは

皆の視線を浴びながらそのまま残された。


詩織だけがぽつり。


「……甘いものは、心を癒しますよね……」


誰も否定しなかった。


■エピローグ


控室を出た後、

隼人は一人で呟いた。


「……差し入れ一つで、ここまで荒れるとは……」


その背後で、美月がぼそり。


「次はもっとええもん期待しとくで、ビーチさん」


戦争は、

まだ終わりそうになかった。

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