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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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492/710

人生ハードモード、家電イージーモード未満 ――紗耶と文明の逆襲

蛯沢紗耶。

 戦隊ヒロイン一の苦労人。

 父の蒸発、借金、奨学金、夜の世界――

 人間関係も人生も、だいたい修羅場で鍛え上げられてきた女。


 だが。


「……これ、止まらないんですけど……」


 洗濯室に響く、ピーピーピーという不吉な電子音。

 最新式ドラム洗濯機の前で、紗耶は完全にフリーズしていた。


「停止押すと回るんです」

「もう一回押すと閉じ込められます」


「洗濯機に幽閉されるな」


 美月が即ツッコミを入れる。


 そこへ、大宮麗奈がスッと並ぶ。


「大丈夫。私も分からない」


「最悪の安心感や!」


 生活力ワーストツートップ、ここに揃い踏みである。


 蒼牙2000・改が静かに起動する。


「分析結果:蛯沢紗耶、精神耐久SS、対機械適応力E」


「Eはやめてください!」


 そのとき――

 ドアが勢いよく開いた。


「なーにやってんだっぺ?」


 長靴、ジャージ、袖まくり。

 畑帰りそのままの格好で現れたのは、農民にして魔法少女・唯奈。


「紗耶さん、洗濯機にビビってっと、洗濯にナメられっぞ」


「洗濯機に……?」


「長押しだっぺ。ほれ、ここ」


 唯奈が乱暴にボタンをぐいっと押す。


 ――ピタッ。


 洗濯機が沈黙した。


「……止まった」


 紗耶の目が丸くなる。


「唯奈ちゃん……どうしてそんなに詳しいの?」


「は? 壊れっと困んだっぺ。

 農家で機械分かんねぇとか、死活問題だがんな」


「説得力が土の匂いする!」


 さらに惨劇は続く。


「スマホが……字が……でかい……」


「あー、それ老眼モードだっぺ」


「老眼!?」


「違ぇわ、アクセシビリティだ。

 変なとこ触ったんだっぺ?」


 唯奈はスマホをひったくるように操作する。


「ほれ、戻った。

 ついでに変な通知も切っといた。

 こんなの放っとくと電池すぐ死ぬぞ」


 操作時間、10秒。


 麗奈が呆然とする。


「……私、それ半年気づかなかった」


「半年!?

 よく生きてたな、おめぇ」


「唯奈、口が辛辣!」


 その後も地獄は止まらない。


・エアコンを「寒いから」で暖房28度

・IHを「光って怖い」で封印

・電子マネーを「お金消えた感じ」で拒否

・アラーム20個設定して全部無視


 真帆が冷静に聞く。


「紗耶さん、これまでどうやって生活を……」


「……気合です」


「気合万能説やめなさい」


 隅で聞いていた隼人補佐官――

 ビーチ隼人がポツリ。


「……俺、紗耶の前だと一番まともだな」


「それ基準が低すぎる!」


 蒼牙2000・改が追撃する。


「提案:蛯沢紗耶に生活基礎再教育プログラム」


「名前がロボット実験なんですよ!」


 だが、紗耶は少し照れて笑った。


「……でも、教えてもらえるの、嬉しいです。

 分からなくても、今までは聞けなかったから」


 一瞬、場が静かになる。


「……そういうとこだぞ」

「評価上がるの」


 美月が肩をすくめる。


「しゃーないな。洗濯はウチが見る」


「料理は私」

「説明書係、私やる」


 唯奈は腕を組んで頷いた。


「ま、機械なんざ慣れだっぺ。

 壊しゃ覚えんだからよ」


「壊す前提やめて!」


 こうして、

 人生は修羅場、文明は初心者の蛯沢紗耶は、

 茨城弁とツッコミに囲まれながら、少しずつ生活力を取り戻していく。


 なお――

 紗耶と麗奈は正式に《デジタル要注意コンビ》として登録され、

 蒼牙2000・改の監視対象に追加された。


 次に止まるのは、

 たぶん電子レンジである。

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