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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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474/588

違う人を撮ったはずなのに、同じ写真が二枚ある  ――迫田ツインズ・写真判定いたずら事件

都内某所、

戦隊ヒロイン公式プロフィール撮影用の写真スタジオ。


白バック、

業務用ストロボ、

無表情で黙々と準備を進めるベテランカメラマン。


この日の被写体は、

迫田澄香と迫田澪香――空前絶後の美人双子姉妹。


ヒロ室スタッフは全員、

すでに嫌な予感を抱いていた。


「今日は一人ずつ撮りますからね」


カメラマンが念押しする。


「立ち位置も、ポーズも、

 順番もちゃんと分けます」


澄香はにこやかに頷く。


「はい、分かりました」


澪香も同じ角度で頷く。


「大丈夫です」


……この時点では、

誰もまだ地獄を見ていなかった。


まずは澄香。


オレンジのシュシュ、

少し右寄りの立ち位置。


「はい、軽く顎を引いて」

「目線カメラ」

「はい、そのまま」


カシャ。


完璧。


光の入り方、

微笑みの角度、

髪の揺れ。


カメラマンは内心、

「さすが」と思っていた。


次は澪香。


スカイブルーのシュシュ、

今度は少し左寄り。


「では次、お願いします」

「顎を少し――」


その瞬間、ヒロ室スタッフが気づく。


あれ?


立ち位置、

さっきと違うはずなのに――


「……まぁいいか」と誰も言わなかった。

言えなかった。


撮影は進む。


「少し首を傾けて」

「はい、笑顔」

「……いいですね」


カシャ。


カメラマンは、

一切の疑念なくシャッターを切った。


問題が起きたのは、

モニター確認の時だった。


「じゃあ、さっきのカット見ますね」


大型モニターに映し出される、

一枚目の写真。


スタッフ一同、納得。


「うん、いい」

「完璧ですね」


次の画像。


……沈黙。


「……え?」


カメラマンが声を漏らす。


「えっ……?」


スタッフが顔を寄せる。


「……これ、さっきのですよね?」


真帆が首を傾げる。


「え、今のは澪香さんの……ですよね?」


カメラマン、

マウスを動かす。


カット番号を切り替える。


まったく同じ写真。


「……待ってください」


カメラマンが本気で慌て始める。


「撮影データ、

 上書きしてませんよね……?」


アシスタントが言う。


「してないです。

 ちゃんと別フォルダです」


真帆が画面を指差す。


「でも、

 同一フレームにしか見えませんけど……」


そこへ、

澄香と澪香が並んでモニターを覗き込む。


「ほんとですね」

「同じに見えますね」


声も同時。


カメラマン、

頭を抱える。


「……いや、

 被写体は違うんですよね?」


「はい」

「違います」


また同時。


スタッフが言う。


「シュシュの色は……?」


画面を拡大。


……光の反射で、

どちらも白に見える。


「えっ……?」


「立ち位置は?」


グリッドを表示。


……完全一致。


「……そんなことある?」


カメラマン、

プロ人生で初めての事態に直面する。


「……これは、

 心霊写真では?」


澄香が首を振る。


「生きてますよ?」


澪香も首を振る。


「元気です」


結局、

何度撮り直しても結果は同じ。


違う人を撮っている。

違う順番。

違うはずの条件。


なのに、同じ写真が増えていく。


最後に、

詩織が小さく言った。


「……二人とも、

 無意識で同じ顔、

 同じ角度、

 同じ筋肉の動き、

 同じ呼吸してるんじゃ……」


全員、

ゆっくり二人を見る。


澄香と澪香、顔を見合わせる。


「……そうかも?」

「……そうかも?」


この日、

写真スタジオには新しい伝説が生まれた。


《迫田ツインズ撮影は、

 “写真判定不可”につき、

 動画から切り出すこと》


カメラマンは帰り際、

静かに呟いた。


「……もう二度と、

 双子の静止画は撮りません」


その背中を見送りながら、

澄香と澪香は同時につぶやく。


「楽しかったね」

「楽しかったね」


――誰も、ツッコまなかった。

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