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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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47/444

ふとん屋はステージより熱かった!〜聖地巡礼と値札ガチャの奇跡〜

戦隊ヒロイン・大宮麗奈。

都内のトークショーでのMC、月島小春の名台詞――

「みんなで大宮ふとん店に買い物行くぞー!!」

観客の「オーーッ!!」

そして麗奈の「来なくていいから〜!!」


……このお決まりの掛け合いが、まさか現実になるとは。


イベントの翌週から、上尾の商店街はざわついていた。

麗奈の実家「大宮ふとん店」に、次々と現れるファン。

スマホの地図片手に迷子になりながらも、彼らは言う。

「これが……聖地巡礼だ……!」


だが、その道のりは険しい。

駅から徒歩15分のはずが、なぜか30分経っても畑の中。

「……ここ、本当にある?」

「看板見えないんだけど!?」

「“と”の字が消えてる!『大宮ふ ん店』になってる!!」


そう、看板の“と”はもう限界を迎えていた。

「ふ ん店」で検索しても何も出ない。

電話をかけても「おかけになった番号は現在使われておりません」。

ファンたちは悟る。

これが聖地巡礼(迷子付き)か……。


それでも運良くたどり着いた者には、天国が待っている。

店内では80代の祖母が笑顔で迎える。

「遠いとこよう来たねぇ。レジ壊れてるから、そろばんでいい?」

母はお茶を出しながら世間話。

「麗奈ねぇ、最近ちょっと太ったでしょ。あれはねぇ、夜食が悪いのよ」

父は新聞をたたみながら言う。

「どこから来たの? ああ、北海道。じゃあ2割引きだな」


SNSではこの光景が瞬く間に拡散された。


「#大宮ふとん店ファンサ日本一」

「#聖地でそろばん精算された」

「#麗奈父が優しかった」

「#麗奈母美人すぎて混乱」


だが、最大の話題はやはり値札ガチャ。


「この枕カバー、500円かなと思ったら3000円だった」

「逆に羽毛布団が4000円だった」

「“気分で値段変わるのが味”って書いてある」


そして伝説の魔法ワード。

「麗奈のお姉さんですか?」


これを放つと、母が目を輝かせる。

「ま〜ぁ!うれしいこと言ってくれるわねぇ!」

――その瞬間、価格崩壊。

「じゃあ、8割引きでいいわよ!」

(※実話報告多数)


父は父でファンとの距離が近すぎる。

「どこの現場行った?幕張? あそこ風強いよな!」

「サイン欲しい? 俺の名前でもいい?」


さらに祖母は孫の麗奈より人気が出てしまう。

ファンが撮った写真にコメントがつく。


「おばあちゃんの笑顔に救われた」

「孫よりオーラある」


――そして、商店街組合の会議。


「最近大宮さんとこ、急に繁盛してますねぇ」

「うちより人入ってますよ」


それを聞いた父、胸を張って言う。

「うちはね、戦隊公認店舗なんですよ」

母「勝手に公認にしないで!」


その日も夕暮れ。

ふとん店の前で記念撮影をするファンたち。

「本当に来ちゃったね」「“ふ ん店”の“と”無いね」

「でも、あったかい店だった」


麗奈はSNSを見ながらため息をつく。

「……もう、完全にネタじゃん……」


その横で月島小春がにやり。

「麗奈ちゃん、次のイベントでも言うよ?

 みんなで大宮ふとん店に買い物行くぞー!!」


観客の声が脳内でこだまする。

「オーーッ!!」


麗奈、顔を覆う。

「来なくていいからぁぁぁぁっっ!!」


――こうして今日も、上尾の片隅にある“ふ ん店”には、

また一人、新たな巡礼者が迷い込むのであった。

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