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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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469/543

国家機密はシュシュ一個分 ―戦隊ヒロインプロジェクト最高戦略会議、夜明け前―

週末の新橋。

 ネオンがくたびれた顔をして瞬く頃、ヒロ室の一室には異様な熱気がこもっていた。


 表の名目は、

「戦隊ヒロインプロジェクト最高戦略会議」。


 実態は――

徹夜麻雀である。


 雀卓を囲むのは、いつもの四人。


 波田顧問。

 隼人補佐官。

 太田すみれコーチ。

 そして――葛城正男室長代理、通称まさにゃん。


 机の上には、点棒、冷めたコーヒー、コンビニの唐揚げ棒、そして使命感のかけら。


「よし、配牌終わりや。今日は真面目な議題がある」

 波田顧問が牌を切りながら言った。


「迫田ツインズの見分けがつかん」


 全員が、重くうなずく。


「現場から苦情が来てます」

「作戦指示が通らない」

「ワシ、どっちに振り込んだかも分からん」


 まさにゃんは、すでに点棒が半分以下だ。


「ロン」

 すみれコーチが涼しい顔で言う。


「えっ、今のどこが!?」

「ピンフのみです」

「また!?」


 開始三局で、すみれコーチはすでに独走状態だった。


 議論は続く。


「仕草で分からんか?」

「同じです」

「声のトーンは?」

「同じです」

「雰囲気や、雰囲気!」

「それが一番信用できません」


 まさにゃんが親で配牌する。


「……あ、あかん」

「配牌見ただけで分かるんですか」

「いや、ワシの人生の流れ的に」


「ロン」

「早すぎません!?」

「まさにゃん、また放銃です」


 点棒が、すみれコーチの前に吸い寄せられていく。


「ワシな、さっきから何切っても当たるんや」

「それ才能ですよ」

「いらん才能や!」


 時計は午前一時。


「番号振るか?」

「ヒロインに番号はまずい」

「左右で立ち位置固定」

「本人たちが入れ替わります」

「声変換アプリ」

「遊びだします」


 そのたびに、

「ロン」

 すみれコーチ。


「おかしいやろ!」

「統計的に、私が強いだけです」

「統計で片付けるな!」


 午前三時。

 唐揚げ棒が消え、コーヒーが尽き、理性も尽きた。


 まさにゃんが、点棒を数えながらぽつりと言う。


「……シュシュの色、変えたらええんちゃう?」


 一瞬、卓が静まる。


 波田顧問が、ゆっくり顔を上げる。

 隼人補佐官が、牌を止める。

 すみれコーチが、点棒を積む手を止める。


「……それで済む話か?」

「最初からそれで良かったのでは?」

「なんで三時間も議論した?」


 全員が、深くうなずいた。


 即決だった。


澄香:オレンジのシュシュ

 宮崎の太陽担当。


澪香:スカイブルーのシュシュ

 南国の空担当。


「色は固定」

「入れ替え禁止」

「気分で変えたら減俸(冗談)」


 結論が出た直後。


「ロン。役満」


「うそやろ!?」

「最後にそれ!?」

「まさにゃん、またですか!」


 点棒は完全にすみれコーチのものになった。


「会議は終わり」

「勝負も終わり」

「ワシの人生も終わりかけや」


 夜明け前。

 最高戦略会議は解散した。


 翌週、現場は平和だった。


「オレンジが澄香!」

「青が澪香!」


 誰も間違えない。


 なお、迫田ツインズ本人たちは言った。


「最初からそうしてほしかったですね」

「長かったですね」


 混乱していたのは、

最初から最後まで大人たちだけだった。


 そしてまさにゃんは、

次の会議でもまた放銃する予定である。

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