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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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465/524

双子は二人、粗品は一個――美月、経理に噛みつく

迫田澄香と迫田澪香。

 空前絶後の美人双子姉妹が、揃って戦隊ヒロインプロジェクトへの加入を決めた瞬間――。


 紹介者である赤嶺美月の目は、すでに一点を見据えていた。


 そう。

 粗品である。


 ヒロ室フロントの安岡真帆から、厳かに手渡される白い封筒。

 その重みは、ここまで大学中を駆けずり回った努力の結晶。


 封を切る。

 中身を見る。


「…………」


 そして、間髪入れずに一言。


「……ショボっ」


 この反応、もはや伝統芸である。


 ちょうど近くにいた月島小春が、ちらりと封筒を覗き込む。


「美月パイセンも、粗品もらえたんですね」


「なぁ小春。これの麗奈ちゃんプリペイドカード、いくら分やった?」


「え? 私のときは……2000円分でしたけど……」


 美月の眉が、ピクリと動いた。


「……ちょい待ち」


 そして、ヒロ室の奥に向かって、一直線。


「真帆さーん! 佳乃さーん!!」


 経理デスクにいた谷口佳乃(通称:けちのん)が、嫌な予感しかしない顔で振り向く。


「なんでっか美月はん……」


「おかしいやろ!!」


 美月、机をバンと叩く。


「双子やで!? 二人やで!?

 澄香と澪香、二人まとめて紹介したんやで!?

 なんで粗品が一個やねん!!」


 真帆が、元政治家秘書らしい曖昧な笑みを浮かべる。


「……そこは想定外だったといいますか……」


 佳乃は腕を組み、泉州弁で一刀両断。


「美月はん、常識的に考えて

 粗品は一案件につき一個まででっしゃろ」


「どこにそんな決まり書いてあんねん!!」


 ヒロ室スタッフで法科大学院に通っている内田あかねが、静かにメガネを押し上げる。


「明文化されていないのは、確かに問題ですね。

 ただし、二つ渡すという結論には……至らないと思われます」


「めっちゃ濁すやん!!」


 美月のゴネは、なおも止まらない。


「なんやねんこのケチな組織!

 米国大使館占拠事件解決したときはなぁ!

 大統領直々に晩さん会やったんやぞ!!」


 佳乃、即答。


「国民の皆様から頂いた血税で運営してるんやから、こんなモンやろ。

 皆さまの戦隊ヒロインでおます」


「そらそうやけど……!」


 ついに根負けした真帆と佳乃は、顔を見合わせ、小声で相談。


「……他のヒロインには絶対内緒ですよ?」

「国家機密でっせ?」


 そっと差し出される、もう一つの封筒。


 美月、勝利を確信して開封。


 中から現れたのは――


 麗奈ちゃんクリアファイル。


「…………」


 美月、真顔。


「この麗奈ちゃんのウインク、なんかムカつくねん」


 そこへ、ひょいと顔を出す江波のどか。


「なぁ美月ぃ、粗品はなんだったんや?」


 美月、即座に返す。


「国家機密や」


「えぇ~……」


「のどかは広島支部長なんやろ?

 広島で誰かスカウトして紹介すればええねん」


 のどか、腕を組んで唸る。


「ぐぬぬ……」


 ――数秒後。


「あっ!!」


 目を見開く。


「よさそうなん、おったわ」


 その瞬間、

 ヒロ室のどこかで、また新しい火種が生まれた。


 美月は、手元の麗奈ちゃんクリアファイルを見下ろしながら、ため息をついた。


「……まぁ、ええわ」


 粗品はショボい。

 だが、双子は本物。


 そして、戦隊ヒロインプロジェクトのお友達紹介キャンペーンは、

 今日も静かに、だが確実に、次の波乱を呼び込んでいた。

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