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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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464/512

粗品がショボすぎて、双子が来た――美月、大学を揺らす

 戦隊ヒロインプロジェクトには、表向きにはあまり語られないが、内部ではそこそこ重要な制度がある。

 その名も――「お友達紹介キャンペーン」。


 ヒロ室フロントの安岡真帆が、慢性的なヒロイン不足をどうにかしようと考案した制度で、

「ヒロインがヒロインを紹介し、めでたく採用された場合、紹介者に粗品を進呈する」

という、実にシンプルかつ現実的な仕組みだった。


 結果は、大成功である。


 大宮麗奈がイベント仲間の森川美里を引き込み、二人並べばイベント会場が一気に華やぐ。

 館山みのりは神代なつめを連れてきて、「土佐の突進娘」として戦闘でもイベントでも大活躍。

 西川彩香は三好さつきを紹介し、阿波のスピードスターとして清楚な透明感で爆発的人気。

 月島小春が呼び込んだ阿部柚葉は、穏やかな秋田美人ながら尖った大胆さも併せ持ち、従妹の小野寺彩音まで加入内定。

 山口唯奈に至っては、中村玲という技術者を「週末ヒロイン」に仕立て上げ、開発と現場の架け橋にしてしまった。


 ――制度としては、文句なし。


 ただし。


 粗品だけが、全員の期待を裏切っていた。


 内容は、

・麗奈ちゃんプリペイドカード 2000円分

・戦隊ヒロイン手ぬぐい


 手ぬぐいは、堀井琴葉の実家・堀井商店が企画したものの、

生産委託先との折り合いがつかず

販売に至らなかった幻の企画倒れ商品である。


 受け取ったヒロイン、全員が同じ反応をした。


「……ショボっ」


 美月は気になって仕方がなかった。


「なぁなぁ、粗品なんやったん?」


 麗奈「国家機密よ♡」

 みのり「国家機密です」

 彩香「自分で見つけてきぃ!」

 小春「美月パイセンは交友関係広いんだから紹介すればよくないっすか?」

 唯奈「国家機密だっぺよ」


 全員、同じ対応。


「なんやねんそれ! 気になるやろ普通!」


 ここで、美月は決断した。


「しゃあない。自分で取りに行くわ」


 向かった先は、近畿学院大学。

 四万人キャンパス。

 その中でも「知らない人はいない」と噂される存在――


 迫田澄香・迫田澪香。


 宮崎県都城市出身、美人双子姉妹。

 キャンパスは違えど、名前だけで通じるレベルの有名人。


 初対面で、美月は思わず声を上げた。


「うわっ……クローンやん……」


 澄香と澪香、同時に首を傾げる。


「初めまして」

「初めまして」


 リアクション、完全一致。


「戦隊ヒロイン、興味ない?」


 澄香「あります」

 澪香「……どうしようかなぁ」


 言葉は違うのに、動きは一緒。


「いや、そこズレるんや!」


 だが美月の説得は雑で早い。


「とりあえず話聞くだけ聞こ。粗品出るし」


 ――この一言で、澪香も落ちた。


 数日後。

 ヒロ室にて、面談。


 対応するのは安岡真帆と小宮山琴音。


「えー……こちらが澄香さんで……」

「いえ、そちらが澪香さんです」

「……あれ?」


 座る位置を変えても、声を聞いても、混乱は止まらない。


 琴音がメモを取りながら呟く。


「今どっちが喋りました?」


 二人同時に答える。


「私です」

「私です」


 真帆、頭を抱える。


「……番号振ります?」


 最終的に琴音が言い切った。


「二人そろって、10点満点中100点ずら」


 評価基準が崩壊している。


 こうして、

 前代未聞、空前絶後、スーパー戦隊史でも聞いたことのない

 双子姉妹ヒロインが誕生した。


 なお、美月が受け取った粗品は――


「……やっぱショボっ」


 だがその顔は、どこか満足げだった。


 粗品はさておき、

 大学を揺らしたスカウトは、間違いなく大成功だったのだから。

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