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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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休み明け、テンションがデフォルト設定を超えた件

休み明けの月曜、午前九時。

ヒロ室のドアが——勢いよく開いた。


「おはようございます!!!」


声がでかい。

やけに澄んでいる。

そして、眩しい。


最初に異変を察知したのは美月だった。


「……誰や今の」


綾乃が眼鏡を押し上げる。


「玲はん……やけど、

あんな元気な個体、記録にないえ」


唯奈はぽつり。


「……バグったっぺ」


当の本人、玲は満面の笑みで立っていた。


「休みって……すごいですね!!」


誰も返事をしない。


「八時間寝ました!

朝ごはん食べました!

コーヒーも飲みました!!」


「落ち着け」


三方向から同時にツッコミが飛ぶ。


「昨日、夢を見まして!」


「聞いてへん」


「数式が踊ってたんです!」


「悪夢や」


「それでひらめいたんです!!

新兵器の冷却構造、

対流じゃなくて“余白”を作れば——」


「ちょ、待ち!」


唯奈が割って入る。


「玲さん、

休み明けってのはな」


「?」


「静かに慣らす期間だっぺ」


「慣らす?」


「いきなり全開にすると、

周囲が壊れる」


実際、壊れかけていた。


蒼牙2000・改が、

いつもより0.5秒遅れて発話した。


《警告。

中村玲さんの発言速度、

通常比172%》


「速すぎです」


「え? 普通ですよ?」


「普通じゃありません」


すみれコーチが腕を組んで言った。


「玲。

休ませたのは“回復”させるためであって、

“覚醒”させるためじゃない」


「でも……頭がスッキリして……」


「スッキリしすぎや」


会議が始まる。


玲、ホワイトボード前に立つ。


「では、休養後の改善案を——」


ペンが走る。

文字が増える。

図が増える。

矢印が増える。


三分後。


「……多い」


「情報量が暴力や」


「説明、三割でええんどす」


玲はハッとする。


「あ……すみません」


そして次の瞬間。


「では要点だけ話します!」


要点だけで十項目。


蒼牙2000・改が静かに宣言する。


《過剰回復と判断します》


「そんなことある!?」


昼休み。


唯奈とベンチに座る玲。


「……やっぱり、引かれてました?」


「うん」


即答。


「でもな」


唯奈は笑った。


「それ、悪くねぇ」


「え?」


「元気すぎて引かれるってのは、

“ちゃんと回復した”証拠だっぺ」


蒼牙2000・改が補足する。


《通常、人は休養後、

段階的に出力を上げます》


「ですよね……」


《しかし中村玲さんは》


「……?」


《常に“全力”しか選択肢がありません》


「それ欠陥じゃないですか!?」


「美点や」


美月が唐突に割り込む。


「やけどな玲」


「はい」


「次は半分覚えろ」


「半分……」


「それができたら一人前や」


夕方。


玲はPCを閉じ、深呼吸した。


「……今日は、ここまで」


誰もが驚いた。


「帰るのか?」


「はい。

元気すぎるので、

明日に残します」


蒼牙2000・改が感慨深げに言う。


《学習を確認しました》


「……休み、すごいですね」


その背中を見送りながら、

すみれコーチがぼそり。


「休ませると、

元気すぎて扱いづらい」


「でも」


綾乃が微笑む。


「それでええんどす」


——休み明け、元気すぎて周囲が引く。


それは失敗ではなく、

回復が成功した証拠だった。


ただし次回の課題は一つ。


元気の出力調整。


週末ヒロインの戦いは、

まだ続く。

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