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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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451/457

週末が終末になる前に――蒼牙2000・改、教育係に就任

新橋のヒロ室・地下駐車場。

平日の深夜二十三時を回っているというのに、明かりがついている。


そこにいるのは、

技術者兼・週末ヒロイン 中村玲。


床には工具箱、ノートPC三台、未整理の報告書。

コーヒーは三杯目だが、どれも冷えている。


「……あと五分で終わる」


そう言いながら、玲はすでに三十分同じ姿勢だった。


その様子を、

じっと無言で見つめている影がある。


ドリームトラクター――

蒼牙2000・改。


しばらく観察したのち、蒼牙2000・改は低く、しかしはっきりと言った。


「玲さん。

このままでは“週末ヒロイン”ではなく、“終末ヒロイン”になってしまいます」


玲の手が止まる。


「……今、なんて?」


「過労、睡眠不足、自己犠牲の常態化。

これは明確な“ヒロイン燃え尽きルート”です」


「いや、私まだ死んでないから」


「死んでからでは遅いです」


そこへ、夜食の焼き芋を持った唯奈が現れる。


「玲さん、まだやってんのか?」


「もう少しで区切りが――」


唯奈は蒼牙2000・改を見てニヤッとした。


「おい蒼牙、ちゃんと見張ってんだな」


「はい。

本日より私は“中村玲さん・週末ヒロイン教育係”を兼任します」


「え、誰が決めたの」


「私です」


「トラクターが職務拡張するな」


蒼牙2000・改は続ける。


「玲さんは優秀です。

しかし“全部自分でやる”という致命的な欠点があります」


「……それ、褒めてないよね?」


「はい。完全に指摘です」


唯奈が焼き芋をかじりながら言う。


「玲さん、最近ヒロインやる時も顔色悪いっぺ」


「それは照明の問題」


「戦闘中に“ログ取れてない……”とか呟いてたっぺ」


「それは職業病」


蒼牙2000・改、畳みかける。


「中村玲さん。

あなたは“現場に出た技術者”です」


「……それが?」


「一度現場に出た技術者は、

机上に戻れません。

しかし、休まなければ壊れます」


玲はぐっと黙る。


「よって、教育を開始します」


「誰が誰を?」


「私が、あなたを」


唯奈が吹き出した。


「ははっ! トラクターに説教される技術者!」


「唯奈さん、笑い事ではありません」


「だってよぉ……」


唯奈は首を傾げて言った。


「そういう上手な事言うのは、だれ譲りだ?」


蒼牙2000・改、ほんの一拍置いて答える。


「さぁ……

稲生明日香さんの影響ではないでしょうか」


「やっぱりか!!」


玲は頭を抱えた。


「よりによって一番余計な言語能力を学習してる……」


教育係・蒼牙2000・改の方針は明確だった。


・一日一回は強制的に休憩

・報告書は九割で提出

・完璧を目指したらエンジン停止警告

・“週末ヒロイン”を名乗る以上、週末は守る


「拒否権は?」


「ありません」


「あるでしょ普通」


「トラクターに普通を求めないでください」


翌週。


玲は珍しく定時に切り上げていた。


「……落ち着かない」


「それが正常です」


蒼牙2000・改は静かに言う。


「玲さん。

あなたは“誰かを守る側”ですが、

守られる訓練をしていません」


唯奈が横から頷く。


「オラもそうだったっぺ」


「唯奈さんは感覚派なので別枠です」


「ひでぇ」


玲はふっと笑った。


「……トラクターに言われるとは思わなかった」


「私は“相棒”ですから」


その言葉に、玲は少しだけ肩の力を抜いた。


「じゃあ、教育係さん」


「はい」


「次は何を教えてくれるの?」


蒼牙2000・改は、実に真面目に答えた。


「“サボる勇気”です」


唯奈が大笑いした。


「それ、ヒロイン教育で一番むずいやつだっぺ!!」


こうして、

蒼牙2000・改は、戦うだけでなく、ヒロインを壊さないための教育係になった。


週末ヒロインが終末ヒロインにならないために。


――このトラクター、

やたらと人情が深い。

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