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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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450/453

それ、どうやって出してるんですか?――魔法少女唯奈、理屈を問われる

山口唯奈は、自分が魔法少女だという自覚が、まだ薄い。


「オラ、ほんとに魔法少女なんか?」


常陸太田市の実家の畑。

蒼牙2000・改のエンジン音を子守歌に、唯奈は土を均していた。


「魔法って言われてもなぁ……出る時は出るし、出ねぇ時は出ねぇし」


蒼牙2000・改が丁寧に返す。


「唯奈さん、それは非常に危険な認識です」


「だって事実だっぺ」


そんな曖昧な魔法少女が、ある日ついに問い詰められることになる。


場所は新橋のヒロ室、会議室。

ホワイトボード、プロジェクター、資料山積み。


正面に立つのは、

技術者兼・週末ヒロイン 中村玲。


「……では、確認します」


玲は深呼吸して言った。


「唯奈さんの“魔法”は、どういう理屈で発動しているのですか?」


一瞬、沈黙。


唯奈は首を傾げた。


「……気合?」


「気合、ですか」


「あと、なんか“来る”感じ」


「“来る”とは?」


「来るんだっぺ」


会議室の空気が、ひとつ凍る。


「……では、条件を整理しましょう」


玲はホワイトボードに書き始めた。


・発動条件

・身体反応

・精神状態

・外部要因


「例えば、昨日の実戦で結界っぽいものが出ましたね」


「出たっぺ」


「なぜ出たのですか?」


「……ヤバいと思ったから」


「それは“恐怖”ですか?」


「いや、ムカついた」


「怒り?」


「違う」


「では?」


唯奈は真剣に考え込んでから言った。


「……仲間が危ねぇって思った時」


玲の手が止まる。


「……つまり、自己防衛ではなく、他者防衛?」


「たぶん」


「“たぶん”なんですね」


「オラ、魔法の説明書もらってねぇっぺ」


蒼牙2000・改が静かに補足する。


「玲さん、唯奈さんの魔法は“再現性が低いが、発動意図が極めて一貫しています”」


「……“守りたい”ですか」


「そだっぺ」


玲は腕を組む。


「では、逆に質問します。

 “守りたい”と思っても、出ない時は?」


「あるっぺ」


「なぜ?」


「疲れてるとき」


「体力消耗?」


「あと、腹減ってる時」


「……空腹」


「あと、難しいこと考えすぎると出ねぇ」


その瞬間、玲が顔を上げた。


「――それです」


「え?」


「“理屈を考えると出ない”」


会議室がざわつく。


「つまり唯奈さんの魔法は、

 ・直感優位

 ・情動連動

 ・過剰な論理思考で阻害される」


唯奈はぽかんとする。


「つまり……?」


「考えない方が強い」


「それ、オラバカってことか?」


「違います!!」


玲は慌てて否定した。


「非常に高度な“無意識処理”です!

 むしろ私たちが追いついていない!」


蒼牙2000・改も頷く。


「唯奈さんは“感じてから動く”タイプ。

 我々は“考えてから動く”。

 そこにズレが生じています」


唯奈は腕を組んだ。


「つまり、オラはオラのままでいいってことだっぺ?」


「……はい」


玲は少し悔しそうに笑った。


「理屈を説明できない魔法。

 でも、確実に仲間を守る魔法」


「それ、戦隊ヒロイン向きだっぺ?」


「……完璧に」


会議の最後、玲は一言だけ釘を刺した。


「ただし唯奈さん」


「なんだっぺ」


「“気合となんとなく”で済ませるのは、

 報告書では通りません」


唯奈は即答した。


「そこは玲さんが理屈つけてくれっぺ」


玲は天を仰いだ。


――ああ、この人の魔法を説明するのは、私の仕事なのか。


蒼牙2000・改が締める。


「結論。

 魔法少女唯奈さんは、理屈で縛ると弱くなります」


唯奈は満足そうに笑った。


「よし。じゃあ、これからも考えねぇでいくっぺ」


「それはそれで問題です!!」


こうして、

魔法少女唯奈は“理屈を問われても、理屈で戦わない存在”として正式認定された。


そして中村玲は、またひとつ悟る。


――現場に出た技術者は、

 説明できない正解と、付き合わされる運命なのだと。

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