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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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446/453

主役は畑からやって来た――代々木に響け、蒼牙2000・改!

都心とは思えないほど緑が広がる場所――代々木公園。

 休日ともなれば、ジョギングする人、犬を連れた家族、外国人観光客、そして今日はそこに、戦隊ヒロインプロジェクト史上最大規模の屋外イベントが開催されていた。


 特設ステージ前にはすでに黒山の人だかり。

 いつも以上の熱気に、スタッフもどこか浮き足立っている。


「さぁさぁ皆さーん!

 本日は戦隊ヒロインプロジェクト、スペシャルイベントにお越しいただき、まことにありがとーございます!」


 マイクを握るのは、元バスガイドという異色の経歴を持つ司会者・西里香澄。

 軽快な語り口に、ところどころ熊本弁が混じる。


「今日はですねぇ、ヒロインさんたちだけやなかとです!

 なんとなんと!

 とんでもなか新戦力が、ここ代々木公園に初登場します!」


 観客がざわつく。


「それではお呼びしましょう!

 農業と科学とロマンの結晶――!」


 ゴゴゴ……と低く響く重低音。


「ドリームトラクター!

 蒼牙2000・改でーす!!」


 ステージ袖から現れたのは、明らかに場違いな存在感。

 黒と銀を基調としたボディ。

 SUVのような迫力をまとったトラクター。


「……え?」


「トラクター?」


「喋るやつだよな、確か……」


 蒼牙2000・改が静かに前進し、マイクに向かって一礼する。


「皆さま、はじめまして。

 ドリームトラクター《蒼牙2000・改》です。

 本日はよろしくお願いいたします」


 ――一拍の沈黙。


「……オォ……」


 どよめきが、波のように広がった。


「しゃ、しゃべった……」


「丁寧すぎる……」


「トラクターなのに礼儀正しい……」


 香澄がすかさず畳みかける。


「はーい!

 今の挨拶でお気づきの方も多かと思いますばってん!

 この蒼牙2000・改、しゃべります!考えます!しかも速かです!」


 そこで、運転席にひょいっと飛び乗る影。


「オラの相棒だっぺよ!」


 山口唯奈だ。


「畑も戦場も一緒に駆け抜けてきた、

 オラの無二の親友や!

 今日は代々木まで来たからよ、

 みんな応援、頼むで~!」


 蒼牙がすかさず応じる。


「唯奈さん、気合十分ですね。

 それでは、デモンストレーションを開始します」


 加速。

 旋回。

 急停止。


 芝生を傷つけないギリギリの制御で、

 蒼牙2000・改は軽やかに動く。


「すげぇぇぇ!!」


「トラクターの動きじゃない!」


「これ戦隊兵器じゃん!」


 拍手と歓声が公園に響き渡った。


 イベント終了後。

 特設エリアでは写真撮影会が始まる。


「こちらにお並びくださーい!」


 大宮麗奈と森川美里が、

 モーターショーさながらに蒼牙2000・改の横へ。


「この角度、映えますよ~♡」


「はい、蒼牙さん、もう少し前へ!」


「了解しました。

 撮影用ポジションに移動します」


 列は長蛇。

 完全に主役はトラクターだった。


 一方、その少し離れた場所。


「……こちらも、撮影できます……」


 小さな声で呼びかける河合美音。


 前には、まばらな列。

 というより、ほぼ人がいない。


 美音のグッズ売り場には、無情にも立てられたノボリ。


【大売出し】


「……なんでやねん……」


 肩を落とす美音に、

 蒼牙2000・改が静かに声をかける。


「皆さま、こちら河合美音さんの応援も、ぜひお願いいたします」


「……トラクターにまで同情されるん、

 なかなかキツいな……」


 美音は青息吐息だったが、

 その様子を見てクスッと笑う観客も現れ、

 数人が列に加わった。


「……ありがとう、蒼牙さん」


「どういたしまして。

 応援は、積み重ねが大切です」


 唯奈はその様子を見て、満足そうに頷いた。


「なぁ蒼牙。

 今日も大活躍やったな」


「はい。

 しかし主役は皆さんです。

 私は、少し目立ちすぎたかもしれませんね」


「それでええんだっぺ」


 唯奈は笑う。


「オラと一緒に、

 これからも畑もステージも、

 全部走り抜けるんや」


 夕暮れの代々木公園。

 戦隊ヒロイン史上、

 最も土の匂いがして、最も観客を沸かせた新戦力は、

 確かにここに誕生していた。

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