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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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440/453

唯奈大迷惑⑫  週末ヒロイン爆誕――被験者って言ってねぇ!!

「……ですから、私は戦隊ヒロインではなく、

あくまで技術協力の一環としての出向で――」


中村玲は、ホワイトボードの前で丁寧に説明していた。

説明している内容は至極まっとうで、論理的で、非の打ち所がない。


だが、聞いている側が悪かった。


「つまりヒロインだな」

すみれコーチが即断する。


「えっ?」

「週末だけ来るんでしょ?」

「はい」

「制服着るでしょ?」

「業務上必要なら……」

「戦闘訓練も出るでしょ?」

「データ取得のために……」


すみれコーチ、満面の笑み。


「ほら、ヒロイン」


こうして、

**“諏訪精巧機電研究所出向・週末ヒロイン中村玲”**が誕生した。


玲は諏訪湖のほとりで育った。

父は町工場の技術者、母は理科教師。

幼い頃から「理屈が通らないことが嫌い」な子だった。


その結果、理工学部→大学院→地元企業。

人生設計は極めて堅実。


まさか30メートル走で

阿波のスピードスター・三好さつきと並ばされる日が来るとは、

本人が一番思っていなかった。


「……運動は得意ではないつもりでしたが」

「いや速すぎやろ!?」

さつきが素でツッコむ。


スピードスケート仕込みの脚力は伊達ではなかった。


イベントステージでは、

玲の“理系トーク”が独特の存在感を放つ。


「この装備はですね、

力を“増幅”しているのではなく、

“無駄な出力を削減”しているんです」


観客は最初ぽかんとするが、

説明が進むにつれ、なぜか納得してしまう。


「なるほど〜」

「賢くなった気がする」


ただし、盛り上がりには欠ける。


「玲ちゃん、

その理論で笑い取る機材も作らないとね」

麗奈の一言に、玲は即座に頷いた。


「……本当にそう思います」


そこだけは一切否定しなかった。


そして、例の儀式が始まる。


「被験者……いえ、唯奈さんの意見を――」


「今、被験者って言ったっぺ」


「言ってません」


「言った」


「言ってません」


「言ったっつってんだろ!!」


周囲はもう止めない。

様式美である。


戦闘訓練に参加し、

汗だくで装備を外した後、玲は小さく息をついた。


「……現場に来て分かりました。

理論上“安全”という言葉が、

どれほど現場では信用されていないか」


「やっと分かったか」

唯奈が腕を組む。


「被験者……いえ、唯奈さんの言う通りです」


「今!!」

「言ってません」

「言った!!」


成長しても、ここは直らない。


そんな折、

“お友達紹介キャンペーン”なる謎制度が発動。


唯奈に渡されたのは、

麗奈ちゃんプリペイドカードと戦隊ヒロイン手ぬぐい。


「……ショボっ」


いつもの反応。


だが手ぬぐいを手に取り、

質感を確かめる。


「これは良い。

野良仕事で泥拭くのにちょうどいい」


プリペイドカードを見て、肩をすくめる。


「農協のガソリンスタンドじゃ使えねぇし」


そこへ美月。


「なぁ唯奈ぁ、粗品なんやったん?」

「国家機密だっぺよ」

「みんなそれや……」


一方、群馬県太田市。


唯奈の相棒、蒼牙は、

完全に分解されていた。


「ここ、もっと攻められる」

「魂的にも、ここは通した方がいい」


魂。


誰も突っ込まない。


蒼牙はまだ喋らない。

だが、明らかに“普通の修理”ではない。


溶接音の中、

すみれコーチが楽しそうに言った。


「大丈夫。

まだ“目覚めて”ないだけ」


何が。


唯奈はまだ知らない。

次に畑へ戻ってくる蒼牙が、

公道最速トラクターへの第一歩を踏み出していることを。

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