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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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435/454

唯奈大迷惑⑦  巫女、配線を見る――なおオラの未来も見えたらしい

爆発は、なくなった。


これだけ聞くと、すみれコーチ率いる開発チームは

ついに成長したかのように思えるが――それは違う。


爆発しなくなっただけで、

変なことは相変わらず起きていた。


群馬県太田市、すみれコーチの実家工場。


「えー……爆発はゼロです」


諏訪精巧機電研究所の中村玲が、冷静に報告する。


「ですが、耕運機、洗濯機、古い扇風機の振動音に反応します」


「……振動に弱いな」


すみれコーチは腕を組んだ。


「つまり、唯奈の畑では――」


「今も腰が勝手に揺れます」


その頃、常陸太田市。


「……また来たっぺ」


唯奈は畑で、試作品五号機を装着していた。


耕運機が**ドドドドド……**と回り出した瞬間。


「やめろっぺ!

 今日は踊らねぇ日だっぺ!!」


腰が、意思を持ったように左右に振れる。


「くっ……制御しろオラの身体ぃぃ!!」


近所のおばちゃんはもう慣れたもので、


「唯奈ぁ、今日はサンバかぁ?

 昨日は盆踊りだったなぁ」


「ちげぇっぺ!!

 これ兵器だっぺよ!!」


事態を重く見たすみれコーチは、

新たな助っ人を呼んだ。


「自動車工学と……スピリチュアル?」


中村玲が首を傾げる。


現れたのは、白衣の上に白衣を重ねたような人物。


「三河の蒼狐、稲生明日香です」


巫女であり、理系。

豊川市という土地柄か、

エンジン音と霊的波長を同時に聞き分ける変わり者だった。


「この装置、音じゃなくて“気”に反応してますね」


「……気?」


「耕運機、長年使われてますよね?」


「そりゃあ……」


「“働いてきた念”が残ってます」


工場内が静まり返った。


「つまり……」


明日香は真顔で言った。


「農機具の怨念です」


「……技術でどうにかなる話かなそれ」


すみれコーチが遠い目をする。


しかし明日香は続けた。


「ただし、振動波形を見ると――

 エンジン回転数と制御信号が共鳴してます」


中村玲の目が光った。


「……スピリチュアルを翻訳すると、工学になるんですね」


「巫女なので」


なぜか納得した。


さらに明日香は、装置をじっと見つめた。


「……見えます」


「何が?」


「次に唯奈が踊るタイミング」


「やめてくれっぺ!!」


「三秒後です」


ドドド……


「来たっぺぇぇ!!」


「やっぱり!」


技術者たちは一斉にメモを取る。


「透視、使えますね」


「実装しましょう」


「待て待て待て!!」


唯奈の悲鳴を無視して、

透視スキル実装計画が始まった。


数週間後。


研究開発は順調に進み、

唯奈には――


「……平和な日々が来たっぺ」


畑仕事もスムーズ。

装置は軽く、踊らない。


「これなら普通に使えるな」


唯奈は満足げだった。


その時。


近所の古い耕運機が、

少し離れた畑でエンジンをかけた。


ドロロロロ……


装置が、ピクッと反応。


「……まさか」


腰が、わずかに揺れる。


「おい……」


クイッ


「やめろっぺ!

 今、平和回だったっぺよ!!」


遠くで明日香が呟く。


「見えました。

 “改良は、まだ続く”って」


すみれコーチはため息をついた。


「……唯奈、もうしばらく頼むね」


「オラ、いつまで実験台なんだっぺ……」


こうして、

爆発は消え、踊りは残り、

透視だけが正確になるという

謎の進化を遂げたヘンテコ兵器。


唯奈の大迷惑は、

静かに、確実に、次の段階へ進んでいた。

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