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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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432/453

唯奈大迷惑④ 四号機は当たる。金ダライも当たる

懲りない、という言葉はこの人たちのためにある。


群馬県太田市、すみれコーチの実家町工場。

その一角に、諏訪精巧機電研究所の技術者たちが再び集結していた。


「今回は……本当に大丈夫です」


そう言い切ったのは、若手技術者の中村玲だった。

真面目な顔。真剣な目。

背後ではベテラン技術者たちも無言でうなずいている。


「重量はさらに軽量化。

 装着ストレスは前回比30%減。

 可動域は戦隊ヒロイン全員を想定しています」


「理論上は?」

すみれコーチが聞く。


「……今回は、理論だけじゃありません」

玲はきっぱり言った。


誰もが一瞬、拍手しそうになったが、

その言葉を一番信用していない人物は、まだ現れていなかった。


その頃、茨城県常陸太田市。

唯奈は収穫したジャガイモの選別作業に没頭していた。


「これはA、これはB……あ、これ虫食いだな」


野良着、軍手、無心。

そこへ――


キキィィィッ!!


砂利を盛大に鳴らして、例の車が止まる。


「……来たな」

唯奈は顔を上げずに言った。


「よっ!」

すみれコーチは軽い。


「今、選別中だっぺ」

「大丈夫、すぐ終わるから」


「前も同じこと言ってたっぺよな!?」


説明ゼロ。

唯奈はジャガイモの箱ごと放置され、野良着のまま車に押し込まれた。


「ちょ、土ついたままだぞ!」

「テンプレだから」

「テンプレ万能すぎだろ!!」


乱暴な運転で山道を駆け下り、

気づけば太田市の町工場。


「今度こそ、大丈夫です」


装置の前で、中村玲が言った。


「被験者……いえ、唯奈さんの意見を

 ふんだんに取り入れた改良版です」


「今、被験者って言ったっぺな?」

唯奈は逃さない。


「い、言ってません!」

「言ったぞ。絶対言った」


「……き、気のせいです!」


勘は鋭い。

だが、装置は確かに今までで一番“普通”だった。


装着。

スイッチオン。


……問題なし。


走る。

跳ぶ。

止まる。


「お?」

唯奈は首をかしげた。


「……あれ? 今回、ちゃんとしてね?」

「でしょう!」

技術者たちが一斉に胸を張る。


その瞬間――


ガチン!!


ヘンテコ兵器が勝手にロック解除。


「え?」

唯奈が振り返った瞬間、


ドン!!


勢いよく柱に激突。


次の瞬間、

棚の上から――


カーン!!


金ダライ直撃。


完璧なタイミング。

完璧な角度。


一拍の沈黙。


そして、


「……」


「……」


「……プッ」


すみれコーチが吹いた。


「わ、悪い……!」

「ちょっと、これは……!」


技術者たちは大爆笑。


「装置は!?」

「無事です!」

「よかったー!」


床に転がる唯奈。


「……お前らさぁ」


ゆっくり立ち上がり、ため息。


「人より先に、機材心配すんな」


しかし、唯奈は装置を軽く叩いて言った。


「でもよ、

 装着感は一番いい」


一同、静まる。


「軽いし、動きやすい。

 これなら陽菜でも大丈夫だな」


「本当ですか!?」

中村玲の目が輝いた。


「本当だ。

 これは……良い」


そして、間を置いて一言。


「……コロすきかぁ~」


全員、再び爆笑。


帰り道。

すみれコーチは唯奈を自宅まで送り届けた。


乱暴な運転は相変わらずだ。


「次は五号機――」

「やめて~」


畑に着くと、唯奈が言った。


「すみれコーチ。

 野菜の選別、手伝ってもらうぞ」


「え、今から?」

「当たり前だっぺ」


すみれコーチは渋々軍手をはめた。


「……AとBの違い、わかんねぇ」

「そこからかよ」


夕暮れの畑で、

ヘンテコ兵器より地味な戦いが始まった。


――唯奈大迷惑シリーズ、まだまだ終わらない。

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