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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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43/668

上尾発、輝けるふとん屋の娘 大宮麗奈

埼玉県上尾市。

駅前のアーケードの端っこに、古びた看板が一つ。

「大宮ふとん店」と墨書きされた木の看板は、かつての商店街の賑わいを今に伝えていた。


その娘こそ――大宮麗奈、24歳。

現役バリバリの人気イベントコンパニオンである。


モビリティショー、ビジネスショー、住宅フェア。

どの会場にも彼女の姿がある。

マイクを手にした瞬間、空気が変わる。

あの滑舌、あの笑顔、あの絶妙な間――ステージの中心に立つために生まれてきた女。


「皆さん、本日はご来場ありがとうございますっ!」

その声に観客の目が一斉に集まる。

完璧な立ち姿、どこまでも伸びる脚線美、そしてプロの余裕。

人気投票で毎回上位に入るのも当然のことだった。


だが、その「都会的で完璧」なオーラの裏には――ちょっとした“間抜け”が潜んでいる。

スマホの操作は壊滅的。

LINEのグループトークでスタンプを誤送信し、司令部の波田長官に「おやすみ♡」と送って青ざめたこともある。

メールの添付ファイルを開けずに「紙でくれません?」と言い放ち、広報官の遥を絶句させたこともある。


それでも、麗奈は憎めない。

プライドの高さの奥に、不器用な真面目さがある。

「イベントって、ほんとに生きてる感じがするの。お客さんが笑ってくれるだけで、報われるんです」

そう語る横顔は、照明に照らされた女神のように輝いていた。


彼女の実家、大宮ふとん店は、そんな華やかさとは正反対の場所だ。

ふとんの香りと蚊取り線香の煙、商売っ気ゼロの親父の「まぁ、寝てってくれや」という気の抜けた接客。

それが彼女の原点。


幼いころから、畳の上で育った娘が、今はステージの上で立つ。

マイクを握る手は、かつて反物の端をたたんでいた指先。

そのギャップこそが、大宮麗奈という人間の“味”なのだ。


MCのプロ、埼玉のオシャレ番長――

けれどその実態は、布団屋の娘で機械オンチの少しドジな女。

そんな彼女だからこそ、ステージに立つたび、観客は思う。


「やっぱりあの人、なんか放っとけないんだよな」


それが、大宮麗奈という“戦隊ヒロイン”の最大の魅力だった。

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