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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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42/675

房総暴走モード、発動

南房総の山肌に、重機のエンジン音と爆風が響く。

ジェネラスリンクの残党が採石場を拠点に立てこもり、戦隊ヒロインたちは殲滅作戦を展開していた。


「敵影、前方五十メートル! 重機の陰に三体です!」

冷静に指示を出す館山みのり。

文学少女のような柔らかな声に、仲間たちは安心する。


そのとき――敵のスピーカーから、致命的な一言が響いた。


「千葉? 東京のオマケだろ? なーにが房総の叡智だ、田舎もんめ!」


みのりの動きが止まった。

風も止んだ。

誰もが悟った――“それを言ってはいけない”と。


「……今、なんとおっしゃいました?」


声は静か、だが凍りつくほど冷たい。

次の瞬間、みのりの体がしなやかに弾けた。


少林寺拳法の構え――からの掌底。

打撃音とともに敵が宙を舞い、爆発が連鎖する。

蹴り一つで戦車が横転し、拳の風圧で岩壁が崩れ落ちた。


「千葉を侮辱するとは、許せません!」


怒りの咆哮が採石場に響き渡る。

ブルドーザー、油圧ショベル、発電機――片っ端から粉砕。

ジェネラスリンクの戦闘員たちは全滅、採石場はまるで戦後のクレーター。


煙が立ち込める中、みのりはようやく我に返った。

「……あ、あれ? やりすぎました……?」


無線から波田司令長官の声が響く。

「おまいさん、また派手にやりやがったな。こりゃ採石場が埋蔵文化財みてぇになっちまったぞ」


そこへ入るのは、静かな駿河弁の声――広報官・芹沢遥だ。

「……はいはい、もうええですよ司令長官。あとはうちがなんとかしますで」

「現場の後始末も慣れたもんです。損保の担当さん、もう顔覚えちゃいましたよ」


みのりが縮こまりながら答える。

「……本当にすみません。千葉を悪く言われると、どうも理性が……」


遥は穏やかに笑う。

「そりゃあ怒って当然ですよ。千葉をバカにするなんて、よう言えたもんです。

 でもね、次はもう少し“部分的な暴走”にしてもらえます? 全壊だと予算が持ちませんで」


波田が口を挟む。

「おまいさん、広報のクセに会計の話まで詳しくなったな」


戦場の跡で苦笑いする二人。

その背後で、崩れた岩の間から風が吹き抜け、海の匂いが漂った。


遥がふっと空を見上げて言う。

「ま、これでまた一歩、千葉の平和が守られましたねぇ」


みのりは小さく頭を下げた。

「はい。……でも次はもう少し静かに、やります」


「そうそう、それがいっちゃんええですよ。静岡の人間もそうですで、静かにやるが一番です。

 ほでもな、ほんまに困ったらまた暴れてええですよ――

 うちがなんとかしますで、心配せんといてくださいね」


――南房総に再び静寂が戻る。

煙の向こうに立つ二人の姿は、まるで春風のように柔らかく、

そして確かに“千葉と静岡の絆”を感じさせた。

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