千葉の叡智 館山みのり
千葉県千葉市花見川区。
潮の香りと東京湾の風が交わるその町で、彼女は生まれ育った。
幼い頃から地元愛が骨の髄まで染みついており、
プロスポーツなら野球もサッカーもバスケも、千葉のチーム以外は眼中にない。
マリーンズが勝てば上機嫌、負ければ読書も頭に入らない。
ジェフ、レイソル、ジェッツ、アルティーリ・・・
果ては船橋競馬や松戸競輪のレース結果まで把握している。
だがあくまでも“千葉限定”。
他県のことを聞かれても「それ、千葉ではないですよね」と真顔で返す。
理知的な顔立ちに知的な眼鏡。
初対面の印象はまるで文学少女そのもの。
柔らかな声と丁寧な言葉遣いが、どこか春の海のような穏やかさを感じさせる。
しかし、ひとたび任務に入れば、その静けさは一瞬で崩れる。
構えた姿勢――流れるような呼吸――そして寸分の狂いもない一撃。
みのりは少林寺拳法の有段者。
「理をもって乱を制す」を信条に、接近戦では無類の強さを誇る。
戦闘中、仲間の背後に忍び寄る敵の気配を感じ取ると、
わずか一拍で体をひねり、掌底を放つ。
乾いた音が響き、敵は宙を舞う。
その顔には怒りも興奮もない。
まるで一冊の本のページを静かにめくるような表情だ。
だが戦いが終わると、彼女は何事もなかったように袖で汗を拭い、
「千葉の風も、今日は少し強かったですね」と微笑む。
その柔らかい笑みの裏に、
地元を愛し、仲間を守り、己を律する――
房総の叡智としての誇りが宿っている。
コードネームはセレスティア・ブレイン。
海のように穏やかで、雷のように鋭い。
千葉が生んだ静かなる賢者は、今日も知と拳でチームを導く。




