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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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396/468

雪より白く、誰より尖る――“尖った大胆さ”で場を制圧する秋田美人ヒロイン阿部柚葉

 阿部柚葉というヒロインを、

 ひとことで説明するのは難しい。


 なにしろ、

 長い。


 手足が長い。

 視線が高い。

 舞台に立つだけで、

 会場の空気が一段上に引き上げられる。


 雪のように透き通った色白の美肌。

 整いすぎて逆に現実感のない顔立ち。


 初見の人は、

 だいたい三秒黙る。


 五秒でため息。

 十秒で現実を受け入れる。


「……秋田、すごいな」


 それが全国共通の反応だった。


 だが、

 柚葉は決して前に出るタイプではない。


 東北人らしく、

 控えめで、

 粘り強く、

 淡々とやるべきことをこなす。


 ――はずだった。


 どこかで、

 スイッチが入る。


 それは、

 にかほ市にある

 大手電子部品工場のCMのように、


 静かに始まり、

 次の瞬間、

 一気に振り切る。


 フロントが油断すると、

 柚葉は突然、

 とんでもないカードを切る。


 無音で場を支配したり、

 逆に一言で全部持っていったり。


 「え、今それやる!?」

 というタイミングで、

 ちゃんと正解を出す。


 真帆はよく言っていた。


「阿部柚葉は、

 使う側の覚悟を試してくるタイプ」


 ヒロインたちも、

 最初は戸惑った。


 理知的で都会的。

 落ち着いていて、

 隙がない。


 なのに、

 油断すると、


「だばなぁ」

「んだんだ」


 どぎつい秋田弁が飛び出す。


 その瞬間、

 場の空気が一気に“実家”になる。


 観客は笑い、

 共演者は気を抜き、

 スタッフは一瞬だけ判断を誤る。


 ――そして、

 また柚葉が場を締める。


 この緩急。

 このギャップ。


 これが阿部柚葉だった。


 そして、

 柚葉にはもう一つ、

 規格外の要素がある。


 親戚。


 にかほ市一帯に広がる、

 阿部一族。


 誰かが動けば、

 全員が動く。


 仙台イベントのときは、

 それがそのまま現れた。


 バス三台。

 声量最大。

 統率ゼロ、

 熱量百。


 その応援は、

 もはやヒロイン一人分を

 完全に超えていた。


 そして当然、

 火がつく。


 仙台のエース、

 佐々木玲香。


 「全てにおいて東北一」を

 自称する女。


 上品にMCをこなしながら、

 内心は穏やかではなかった。


「……秋田、

 人数で来るのズルくない?」


 誰も答えなかった。


 だが、

 柚葉本人は、

 その争いに興味がない。


 なぜなら、

 背後にはさらに強力な存在がいる。


 ――従妹の彩音。


 戦隊ヒロイン加入、

 内定済み。


 まだ若く、

 勢いだけで突っ走るタイプ。


 柚葉は、

 彼女を前に出すことも、

 引き戻すこともできる。


 そして、

 にかほ市の親戚一同は、

 今日も全力で支える。


 東北のエース争い?

 正直どうでもいい。


 柚葉はただ、

 自分の立ち位置を分かっている。


 控えめ。

 粘り強い。

 でも、

 尖るときは一気に尖る。


 それが、

 規格外の秋田美人。


 阿部柚葉というヒロイン。


 東北は、

 まだ静かに揺れている。


 だが、

 雪の下では、

 確実に何かが動いている。

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