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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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395/460

秋田、人数で殴ってくる。――規格外ヒロイン阿部柚葉、仙台を制圧す

阿部柚葉の実家は、

 秋田県にかほ市にある。


 山と田んぼに囲まれた、

 大規模農家。


 兄妹は七人。

 柚葉はその四番目。


 親戚は近隣一帯に点在し、

 「集まる」と言えば

 軽く運動会が成立する規模だ。


 そんな家に、

 ある日一本の電話が入った。


「柚葉が、

 戦隊ヒロインになったらしい」


 ――その瞬間、

 阿部家とその周辺一帯は

 ほぼお祭り状態になった。


「は!? 戦隊!?」

「テレビ出るやつだべ!?」

「うちの柚葉が!?」

「ほら言ったっけなぁ!」


 情報の正確さはさておき、

 喜びだけは正確だった。


 親戚の誰かが言った。


「応援、行がねばな」


 誰も反対しなかった。


 そして次の情報。


「次のイベント、

 仙台だってよ」


 数秒の沈黙のあと、

 誰かが言った。


「……バス、出すか」


 出した。


 一台では足りず、

 二台でも足りず、

 最終的に三台。


 にかほ市から仙台へ向かう

 親戚一同・応援バスツアー。


 人数は数十人。


 応援グッズは手作り。


 声量は、

 にかほ市に工場を構える

 某大手電子部品メーカーの

 CMそのもの。


 尖った大胆さ。

 もはや企業PR。


 そして仙台。


 この日のイベントMCは、

 佐々木玲香。


 地元・仙台。


 全てにおいて

 「東北一」を自称する女だ。


 玲香はいつも通り、

 上品に、

 完璧に、

 イベントを進行していた。


 ――はずだった。


「柚葉ー!!」

「にかほ市から来たぞー!!」

「四番目ー!!」


 意味は分からないが、

 とにかく勢いが違う。


 音量が違う。

 数が違う。

 圧が違う。


 柚葉が登場すると、

 親戚一同が立ち上がる。


 手を振る。

 叫ぶ。

 泣く。


 柚葉は少しだけ困ったように、

 でもいつも通り、

 上品に微笑んだ。


 それがまた、

 火に油だった。


 会場は大盛り上がり。


 だが。


 控室で、

 玲香は静かに眉をひそめていた。


「……声、

 大きすぎじゃない?」


 誰に言うでもなく。


「ここ、

 仙台なんだけど」


 全てにおいて

 東北一を自称する玲香にとって、


 自分より美人で、

 しかも人気急上昇中。


 さらに、

 親戚という謎の戦力を持つ秋田勢。


 疎ましくならない理由がなかった。


 当の柚葉は、

 そんな空気にまったく気づかず、


 親戚に囲まれながら

 静かに言った。


「……来てくれて、

 ありがとう」


 その一言で、

 にかほ市一同は再び沸騰。


 ――秋田美人、

 規格外。


 そして、

 東北の空気は今日も穏やかではない。


 新たな火種は、

 もう、

 あちこちで燻り始めていた。

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