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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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39/444

葛城司令官、津へ行くだけの説明で一時間

――内閣府 戦隊ヒロイン推進室・会議室。


机の上には三枚の資料。

タイトルは「三重県津市イベント移動行程(暫定案)」。

しかし中身はどう見ても国会提出資料のように難解だった。


「えー、つまりですねぇ……今回のイベント開催地であります三重県津市におきましては、えー、交通の便というものが非常に……その、複層的な意味合いを持っておりましてぇ……」


話しているのはもちろん、我らが事なかれ司令官・葛城正男(45)。

吹田出身、北摂なまりの関西弁で、話は遅く、長く、そして要領を得ない。


「要するに、津まで行くんやろ?」と、美月がうんざり顔で割り込む。


だが葛城、動じない。

「ええ、まぁ、結果的にはそうなんですがね。ただ“行く”と一言で申しましても、移動の過程における安全性、効率性、経済性を総合的に勘案しますと――」


「もうええっちゅーねん!」と美月が机を叩いた。

「たかが移動やろ!? 大阪難波から近鉄特急で津まで行って、駅からタクシー乗る、それだけやろ!?」


「いや、そこをな、美月くん。そこを“それだけ”で済ませたらあかんのや」

葛城はなぜか真顔。

「近鉄特急にも種類がありましてな、“アーバンライナー”か“ひのとり”かで車両性能が異なりまんねん。どっちを選ぶかによって、座席のリクライニング角度もちゃうんや」


「知らんがな!!」美月の怒鳴り声が会議室に響いた。


隣の彩香も腕を組み、眉を吊り上げる。

「そんなん、はよ指定券取ったら済む話やろ! 駅弁どこで買うかまで会議せなあかんのかい!」


「まぁまぁ……」と綾乃がため息をつきながら、

にっこり笑って言った。


「ええ時計してはりますなぁ、ほんま、時間だけはよう過ぎていきますなぁ」


会議室にクスクス笑いが広がる。

だが葛城はその皮肉を理解していない。

「せやろ? これ、功績表彰でもろたやつや」

と腕時計を見せてドヤ顔。


「……もう無理や」と彩香が天井を仰ぎ、

美月は「この人、敵よりやっかいや」とぼやいた。


ようやく話が終わった時、時計の針は昼を回っていた。

結論:大阪難波から近鉄特急で津へ、駅からタクシー。


……最初の三分で済む内容に、一時間強。


綾乃がポツリ。

「ほんに、司令官は話で人を疲れさせる天才どすな」


その日、葛城司令官は上機嫌で言った。

「ええ会議やったな、ほんまスムーズや」


美月と彩香の同時ツッコミが炸裂した。

「どこがやねん!!!」


――こうして、津市イベント前から、津々浦々疲れ果てたのであった。

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