表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

376/465

清楚が二人、並んだら漫才――紀伊水道でツッコミが跳ねた日

和歌山市。

 紀伊半島の玄関口であり、海と城とみかんが同居する街。関西の中ではどこかのんびりしていて、南国の空気がほんのり混じる。和歌山城を背にしたイベント広場では、この日「戦隊ヒロイン南近畿交流ステージ」が開催されていた。


 登壇メンバーは西日本勢の精鋭たち。

 MCは辣腕フロント・安岡真帆。

 出演ヒロインは、赤嶺美月、坂井まどか、白浜麻衣、三好さつき、そして土佐の突進娘・神代なつめ。


 この並びを見た真帆は、内心でつぶやいた。

(……今日は事故るな)


 まずは和歌山出身の白浜麻衣が挨拶。

「和歌山へようこそ~。今日は紀州の舞姫として、しっかり盛り上げます!」


 客席から温かい拍手。地元強し。


 続いて、三好さつき。

 清楚、透明感、品行方正。

 立った瞬間に、空気が一段階きれいになる。


「徳島県鳴門市出身の三好さつきです。今日は和歌山の皆さんにお会いできて嬉しいです」


 すでに好感度は天井。


 ここで、さつきが続けた。


「和歌山県と徳島県は、フェリーで海上交通で結ばれています。紀州の舞姫・麻衣ちゃんは、私にとって妹みたいな存在です」


 ――ドン。


 和歌山の客席が一気に沸いた。


「わかっとるやん!」

「海の向こうの親戚や!」


 麻衣も即反応。

「そうそう! 紀伊水道を挟んで隣同士やもんね。徳島と和歌山、今日は共闘やで~!」


 二人で手を振ると、会場は完全に味方についた。


 真帆が頷く。

(これは上手い。清楚なのに、距離の詰め方がプロ)


 問題は、その直後だった。


 真帆が次の流れを振る。

「では同じ四国勢として、神代なつめさんも一言お願いします」


 なつめ、満面の笑みでマイクを掴む。


「はい! 高知の神代なつめじゃき! 徳島も和歌山も、全部ひっくるめて近所じゃろ!」


 空気が変わる。


 さつき、にこやかにフォロー。

「……一応、県は違いますけど」


 なつめ、即返す。

「細かいこと言うたらいかん!」


 ――客席、爆笑。


 ここからだった。


「さつきはな、見た目はお嬢さんやけど中身は普通じゃき」

「なつめさんは、見た目通り勢いだけです」

「勢いは正義!」

「正義でも限度があります」


 完全に漫才。


 美月が袖で腹を抱える。

「なぁ真帆さん、台本にこんなんありました?」


 真帆、無言で首を横に振る。


 坂井まどかが冷静に分析。

「清楚ツッコミと突進ボケの構図ですね。完成度が高いです」


 麻衣が煽る。

「二人とも、もう一回やって!」


 なつめが身振り手振りで叫ぶ。

「ほらさつき、こうドーンと行くんじゃき!」


 さつき、困った顔で一歩下がり、

「……それは、舞台が壊れます」


 ――ドッ。


 和歌山市のイベント会場は、完全に「四国漫才ステージ」と化した。


 最後、真帆が締めに入る。


「えー、本日の結論です。

 三好さつきさんは清楚です。

 神代なつめさんは突進です。

 並ぶと、なぜか漫才になります」


 拍手喝采。


 楽屋に戻った後、さつきがぽつり。

「……私、そんなにツッコミ役でしょうか」


 なつめが肩を組む。

「才能じゃき」


 麻衣が笑う。

「紀伊水道越えの名コンビやね」


 こうして、

清楚なのに漫才になる徳島ヒロインと

勢いだけで押し切る高知ヒロインは、

西日本イベント界隈で“セット売り不可避”の存在となった。


 ――和歌山の海風は、その日、やたらと賑やかだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ