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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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373/457

清楚、爆誕。――阿波が生んだ“静かに強すぎる”ヒロイン

徳島県鳴門市という土地は、不思議な場所だ。

海は荒いが人は穏やか。

渦は激しいが、暮らしは落ち着いている。


そんな鳴門から、とんでもなく静かな爆弾が送り込まれてきた。


三好さつき、二十歳。


関西の名門私大に通う二回生で、西川彩香の一つ下の後輩。

大学内ではすでに「知っている人は知っている」存在だった。


長身。

姿勢が良い。

声が落ち着いている。

笑うと上品。


キャンパスには清楚な美女が掃いて捨てるほどいるが、

その中でもさつきは**「一段、静か」**だった。


結果、

ミスキャンバスのファイナリスト。


この時点で普通なら鼻にかかる。

だが、さつきは違った。


理由は簡単である。


――育ちが、妙に健全すぎた。


さつきの父は、鳴門市に拠点を置く大手企業グループの役員。

全国民が一度は飲んだことのある白っぽかったり黄色かったりする元気系飲料を世に送り出す会社の関係者だ。


幼少期、

哺乳瓶の中身は、ほぼその系列の飲み物。


母は後に語る。


「普通のお乳より、あれの方が飲みが良うて」


この育成方針の結果、

さつきは異様に健康に育った。


足が速い。

反射神経が良い。

無駄に体幹が強い。


しかも背が伸びた。


ヒロ室ではこの事実が共有された瞬間、

「なるほど」

と全員が妙に納得した。


面談当日。


さつきは淡々と話した。


戦隊ヒロインとしての責任。

守秘義務。

立場の重さ。


理路整然。

表情は穏やか。


遥室長は心の中で頷き、

安岡真帆は「西の杉山ひかり」という仮称を即座に付与した。


――完璧すぎる。


だが、問題は次に起きた。


「出身は鳴門です」


この一言で、

徳島県当局が一斉に前のめりになった。


(鳴門!)

(しかもこの完成度!)

(どこに隠れてたんだ!)


結果、

徳島県関係者は満足を通り越して祝杯ムードに突入。


「これは想定外の大当たり」

「徳島、やりましたね」


完全勝利である。


さつきは現在、大学の都合で阪急沿線暮らし。

そのため、立ち居振る舞いは都会的。


……なのだが。


油断すると、

突然ドぎつい阿波弁が飛び出す。


「それは、ちゃうんでぇ」

「ほな、やったろか」


ヒロ室が一瞬フリーズし、

次の瞬間ほっこりする。


このギャップが、地味に強い。


そして戦闘訓練。


ここで全員の認識が覆る。


さつきは、動いた。


速い。

軽い。

踏み込みが鋭い。


阿波踊りのようなステップで敵の間をすり抜け、

渦を描くようにかく乱する。


隼人補佐官が、素で呟いた。


「……これは凄い」


理論でも勢いでもない。

流れで戦うタイプ。


なつめが突進なら、

さつきは回転。


高知と徳島、

正反対なのに噛み合いすぎていた。


かくして、

三好さつきは正式に戦隊ヒロインとなった。


徳島県当局は大満足。

ヒロ室は静かにガッツポーズ。


そして本人はというと――


「皆さんの足を引っ張らんよう、頑張ります」


相変わらず、控えめだった。


だが誰もが思った。


この子、絶対に引っ張る側だ。


渦は、静かに回り始めている。

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