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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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372/471

四国包囲網、突破される。――透明すぎる徳島枠、爆誕

高知県が一つのヒロインを生んだだけで、四国全土がここまで揺れるとは、誰が想像しただろうか。


原因はただ一人。

土佐の突進娘・神代なつめである。


地元高知での扱いは、もはや「戦隊ヒロイン」というより県の文化財候補。

テレビは連日特集、新聞は一面、町内会は横断幕。

その熱気が四国山脈を越えた瞬間――隣県・徳島県が黙っていなかった。


「なぜ高知だけが」「徳島からも出すべきでは」「四国は一枚岩ではなかったのか」


県庁はざわつき、地元メディアは苛立ち、代議士は腕を組んだ。

そして最終的に矛先が向いたのが――ヒロ室である。


「徳島枠を至急用意せよ」


圧は、静かだが確実だった。


ヒロ室では、当局推薦の“徳島代表候補”たちとの面談が続いた。


悪くはない。

真面目だし、感じも良い。

だがどこか決定打に欠ける。


まさに帯に短し襷に長し。


まさにゃん室長代理が腕を組み、

「うーん……惜しいけど、決め手がなぁ」

と唸るたび、徳島県関係者の肩が落ちる。


そんな中、遥室長がふと、いつもの穏やかな駿河弁で口を開いた。


「彩香さんの大学、関西の名門でしょう。徳島出身の可愛い子、いません?」


その瞬間、

播州弁がトレードマークの西川彩香が、珍しく歯切れを失った。


「……居ますけど」

「けど?」

「本人が、その気になるかどうかでして」


この歯切れの悪さが、すべてを物語っていた。


数日後。

ヒロ室の会議室に現れた女性を見た瞬間、空気が変わった。


透明感。

清楚。

長身。

姿勢が良く、声が落ち着いている。


三好さつき。


名乗りを聞く前に、まさにゃんは心の中でこう呟いた。


(……あ、これ採用や)


事実、

「顔見た瞬間、5秒で決めた」

と後で豪語することになる。


面談は形式的だった。

戦隊ヒロインとしての心構え、守秘義務、覚悟。


さつきはすべてを、理知的かつ完璧に語った。


理想論ではない。

浮つきもない。

責任を理解した上での言葉。


遥室長は内心で確信し、

真帆はメモを取る手を止めた。


(この子は、絶対に欲しい)


こうして、

お友達紹介キャンペーン適用第3号は、満場一致の一発合格となった。


後日。


紹介者・彩香のもとに、例の“粗品”が手渡される。


中身は――

・麗奈ちゃんプリペイドカード

・幻の戦隊ヒロイン手ぬぐい


彩香は一瞬だけ中を確認し、

「……ショボっ」

と苦笑いした。


そこへ現れる、美月。


「なぁ彩香、粗品、何やったん?」

「国家機密や」

「またそれや!誰も教えてくれんやん!」

「知りたかったら、自分で候補者見つけきい」


美月、食い下がる。

「干し芋より嬉しいモンなん?」


彩香、即答。

「噂になっとるけど、干し芋やないな」


播州弁が一段とどぎつくなる。


「そない気になるんやったら、あんたも徳島でも高知でも探してきたらええねん」


美月、完全敗北。

「……ぐぬぬ」


周囲は大爆笑。

粗品の正体は、また一段と神秘性を帯びていった。


こうして徳島県は、

ついに“完璧すぎる切り札”を手に入れた。


そしてヒロ室は理解する。


なつめが火なら、

さつきは水。


勢いで突破する高知。

品で制圧する徳島。


四国は、いよいよ面白くなってきたのである。


――なお、粗品の中身については、

この日も誰一人、真実を語らなかった。

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