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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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368/471

よさこいより揺れた一日――戦隊ヒロインサミット高知、開催じゃき!

その日、高知競馬場は朝から様子が違っていた。

違うというより、おかしい。


開門前から列が長い。

しかも客層が妙だ。


競馬新聞を脇に抱えた常連のおっちゃんの横に、

ペンライトを持った親子連れ。

なぜか「なつめ」うちわを掲げる若者。

そして馬券売り場より先にステージを探す人々。


理由は一つ。


四国初の戦隊ヒロイン・神代なつめ、凱旋。


この日は

《戦隊ヒロインサミット高知》

――ヒロインが多数出演する大型イベントが、

ついに“なつめの地元”で開催される日だった。


「こりゃ、昔のアレより人おるぞ」


警備員が呟く。


かつて、

連敗に次ぐ連敗を重ね、

なぜか全国的に愛されてしまった伝説の牝馬が走った日。

「どうせ負ける」と分かっていても人が集まり、

馬券が売れ、

結果として競馬場が潤った、あの社会現象。


――あの日と、似ている。


入場者数、右肩上がり。

売店の唐揚げは昼前に完売。

馬券の売り上げも、なぜか好調。


「理由は分からんが、とにかく売れゆう」


関係者は全員ホクホク顔だった。


そして――

場内アナウンスが響く。


「本日のスペシャルゲスト、

戦隊ヒロインの皆さんと、

我らが高知の誇り!

神代なつめさんです!」


ドッ!


スタンドが揺れた。


「なつめーー!!」

「おかえりーー!!」


本人、満面の笑みで登場。


「帰ってきたきー!」


土佐弁全開。

それだけで拍手が一段階上がる。


他のヒロインたちが

「完全に主役だな……」

と苦笑する中、

なつめは一切気にせず観客に手を振る。


「競馬もヒロインも、

今日は全部楽しんでいってやー!」


その一言で、

競馬場のテンションがさらに跳ね上がった。


そして迎えたメインレース。


レース後――

表彰式のプレゼンターとして、

なつめが再び登場する。


勝利ジョッキーにトロフィーを渡しながら、

なつめは自然体で声をかけた。


「おめでとう!

えい走りやったき!」


カメラが一斉に向く。


写真映え?

演出?

そんなものはない。


ただ、勢いと笑顔だけ。


だがそれが、

この日一番の名場面になった。


翌日の地元新聞。


一面こそ競馬だが、

社会面は完全に――


《土佐の突進娘、競馬場を制圧》


四国初の戦隊ヒロイン・神代なつめさんが、

高知競馬場で開催された

「戦隊ヒロインサミット高知」に登場。


土佐弁全開のトークと、

地元愛あふれる振る舞いに

場内は終始笑顔に包まれた。


競馬場関係者は

「これほど温かい雰囲気の一日は久しぶり」

と語る。


“ヒロイン”という枠を超え、

高知の新しい顔として、

神代なつめさんの活躍から目が離せない。


その記事を、

隣県・徳島の関係者が無言で読んでいた。


「……高知ばっかりずるい」


「四国初って、

なんでウチやないん?」


「阿波踊りヒロイン、

誰かおらんのか」


地団駄を踏む音が、

編集部に響いたという。


一方、

なつめ本人はというと――

「いやー、楽しかったのう!

また帰ってくるき!」

すでに次を見ている。

こうして高知競馬場は、

よさこい祭り並みに揺れた一日を終えた。

戦隊ヒロインが来て、

馬券が売れて、

みんなが笑った。

理由は単純。

土佐の突進娘が、

そこにおったき。

それだけで十分だった。

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