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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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364/529

台本?知らんき!――土佐の突進娘、マイクを制圧する

富士川の研修センターでの合同訓練が終わった翌朝、ヒロ室は異様なざわつきに包まれていた。

理由は一つ。

神代なつめである。


「四国初の戦隊ヒロイン誕生」

その見出しが、すでに高知県内のテレビ、新聞、ローカルニュースサイトを埋め尽くしていた。


まだ本人は歯を磨きながら「今日も訓練きつそうやのう」とのんきにしているのだが、

ヒロ室フロントでは真帆が資料の山を前に無言で頭を抱えていた。


「……英雄扱い、早すぎる」


そこへ届く一本の電話。


「こちら高知〇〇放送ですが、神代なつめさんの単独インタビューを」


真帆は受話器を置く前に、もう悟っていた。

これは止まらない。


その日の午後、簡易スタジオとして使われた会議室には、

高知のテレビ局三社、新聞社二社、ネットメディア数社が集結していた。


「もう坂本龍馬以来ですからね」

「いや岩崎弥太郎以来でしょう」

「いやいや最近だと“あの土佐の女性タレント”以来では」


とにかく扱いがでかい。


そこへ、控室から現れたなつめ。


「どーもー!神代なつめじゃき!」


第一声が土佐弁フルスロットル。

音声スタッフが一瞬ヘッドホンを外した。


司会者が慌てて進行を始める。


「本日は戦隊ヒロインとしての――」


「戦隊ヒロイン?ああ、あれ楽しいき!」


一問目で台本終了。


用意されていた質問はすべて無意味になった。


「どうしてヒロインに?」

「なんか面白そうやったき!」

「将来の目標は?」

「とりあえず腹いっぱい食べることじゃの!」


高知メディア、大爆笑。

カメラは回りっぱなし、テロップは間に合わず、

字幕担当が「もう“全部土佐弁”って出しといてください!」と叫ぶ。


その様子はその日の夕方、

「土佐の突進娘、全国へ」という特集で即放送された。


問題はその隣県で起きた。


徳島のローカル局がその放送を流しながら、

どこか歯切れの悪いコメントを添えたのだ。


「……四国初は高知でしたが、

徳島にも人材は、います」


スタジオが一瞬、沈黙。


「今後は、徳島からも――」

「戦隊ヒロインを、ですね」


悔しさが隠しきれていない。


その夜、ヒロ室には徳島メディアからの問い合わせが入った。


「四国枠は今後どうなりますか」

「徳島出身者の可能性は」


真帆は静かに答えた。


「……前向きに検討します」


電話を切ったあと、ため息。


「一人採用しただけで、四国全体が動くとは……」


一方その頃、なつめ本人はというと。


「なんかテレビ出たらしいき」


と、売店でアイスを選んでいた。


館山みのりが聞く。


「緊張しなかったんですか?」


「全然!いつも通りしゃべっただけじゃき」


「台本とか……」


「もろうたけど、読んでない」


みのりは深く頷いた。


「……それが一番強いですね」


翌日、高知市内では

「神代なつめ凱旋待望論」が早くも浮上し、

商店街では「よさこい+ヒロイン」の謎イベント案が検討され始めていた。


そして徳島では、

「次はうちから出すぞ」という静かな闘志が燃え上がっていた。


真帆は資料にメモを残す。


《神代なつめ:

・台本不要

・制御不可

・だが場を必ず明るくする

→想定外だが、極めて有効》


その評価は、

どんな戦闘データよりも重かった。


その頃なつめは、空を見上げて一言。


「なんかよう分からんけど、面白うなってきたき!」


――こうして、

土佐の突進娘は、四国全体を巻き込みながら前進を続けるのであった。


次に騒ぐのが、

どの県になるかは、まだ誰も知らない。

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