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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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363/472

切り込みは土佐、仕上げは房総。 ――富士川で炸裂する突進コンビ――

富士川の山あいにある、

「国家特務戦隊ヒロイン中央研修複合学習センター富士川分室」

通称「ヒロイン・アカデミー富士」。

正式名称はやたら長いが、要するに――

戦隊ヒロインが本気で走って転んで殴って反省する場所である。


この日、その敷地に、

誰よりも先に声が響いた。


「おはようございますじゃき!!」


山が揺れた。


神代なつめ。

土佐の突進娘。

まだ制服の着方も完全には馴染んでいないが、

声量だけはすでにベテランだった。


集合したヒロインたちが、

一斉に耳を押さえる。


「……朝から強いな」

と、誰かが呟く。


この日の訓練は戦闘想定。

模擬敵役の訓練員がフィールドに展開し、

複数チームに分かれて制圧する。


隼人補佐官が説明する。


「今回は連携がテーマだ。

 勢いだけで突っ込むのは――」


説明、終わらない。


「了解じゃき!」


なつめ、もう走っている。


「待て! まだ開始の――」


笛が鳴る前に、

なつめはフィールドへ突進。


その背中を見て、

隼人補佐官は天を仰いだ。


「……ああ、

 そういうタイプだったな」


だが。


ここで、

館山みのりが動いた。


「……なつめさん、

 行くなら――」


一拍。


「正面突破、任せます」


みのりは冷静だった。

破壊力抜群。

房総の嵐。


なつめの無謀な突進を、

前提条件として受け入れたのだ。


なつめは敵陣に突っ込む。


「どけどけどけー!!」


勢いだけで、

訓練員二名を吹き飛ばす。


だが、

その瞬間、包囲される。


普通なら、ここで終了。


だが。


みのりが、静かに息を吸った。


「……今です」


次の瞬間。


《房総大演舞》


風が変わった。


地面が揺れた。


敵役が、

まとめてひっくり返った。


なつめ、目を丸くする。


「え、

 もう終わり?」


フィールドは静まり返り、

倒れた訓練員だけが転がっている。


隼人補佐官、

腕を組んで満足げにうなずく。


「……なるほど」


解説が始まる。


「神代の突進で敵の注意が正面に集中する。

 そこへ館山が最大火力を叩き込む」


一拍。


「これは強力だ」


ヒロインたちがざわつく。


「雑じゃない?」

「でも強い……」


なつめは、

みのりに駆け寄った。


「すごいじゃき!

 なんで分かったが?」


みのり、少し照れて。


「……

 勢いが、

 分かりやすかったので」


こうして、

即席でなつめ×みのりのホットラインが成立した。


午後の模擬戦。


なつめは、

もう合図を待たない。


だが、

無茶はしない。


みのりの位置を確認し、

突っ込む。


「今じゃき!」


「はい」


ドン。


――全滅。


隼人補佐官、

完全に満足。


「いいな。

 これは使える」


なつめは汗だくで笑う。


「よく分からんけど、

 勝てばええがやろ?」


みのり、即答。


「はい。

 勝てばいいです」


富士川の夕暮れ。


突進と房総が噛み合った日、

戦隊ヒロインの戦術ボードに、

新しい一行が書き足された。


《切り込み:土佐/仕上げ:房総》


――単純で、

だが、やたら強い。


隼人補佐官は、

その文字を見て静かに笑った。


「……賑やかになってきたな」


そしてなつめは思う。


「訓練、

 案外おもしろいき」


この娘、

まだまだ止まらない。

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