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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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362/473

帰っただけで偉人扱いじゃき! ――土佐の突進娘、よさこい凱旋の巻――

神代なつめが、

正式に戦隊ヒロインになったことを家族に報告するため、

数年ぶりに高知へ帰省することを決めた理由は単純だった。


「電話で言うより、

 直接言うたほうが早いき」


それ以上でも、それ以下でもない。


ところが。


高知龍馬空港に降り立った瞬間、

なつめは理解した。


――話がでかくなりすぎちゅう。


到着ロビー。


横断幕。


《祝・神代なつめ凱旋!!》


鳴子の音。


「なつめー!!」

「おかえりー!!」


なぜか踊っている人たち。


「……なにこれ?」


なつめが呟く間もなく、

地元の町内会長が駆け寄ってくる。


「英雄の帰還じゃき!!」


聞けば、

なつめの地元の町内はここ数日、


・提灯

・横断幕

・即席ステージ


が設置され、

連日よさこい祭り状態になっているという。


「この街から戦隊ヒロインが出た!」


「土佐の誇り!」


「なつめ像はどこに建てる!?」


――話が早すぎる。


なつめ本人はというと、


「まあ、

 元気そうやね」


と、どこまでも平常運転。


そこへ地元テレビ局。


「今のお気持ちは!?」


「戦隊ヒロインになった感想は!?」


なつめ、即答。


「楽しいき」


記者、間。


「……以上です」


だが、

これで終わる高知ではない。


続いて地元新聞。


「土佐女としての意気込みを!」


「全国で戦う覚悟は!」


なつめ。


「とりあえず前に出るき」


記事タイトル。


《土佐女、覚悟完了》


――覚悟の中身が書いてない。


夕方。


町内の公民館で、

なつめの“報告会”が始まった。


本人は「家族に話すだけ」のつもりだったが、

気づけば町民総出。


父、困惑。


「……なんでこんな人おるが?」


母、諦観。


「うちの娘やき」


壇上に立たされるなつめ。


拍手喝采。


鳴子。


町内会長が高らかに宣言する。


「本日より、

 神代なつめは――」


間。


「土佐の偉人の一人とする!!」


会場、爆笑と拍手。


なつめ、首をかしげる。


「……誰と並ぶが?」


即答。


「坂本龍馬!」


「岩崎弥太郎!」


「あと、

 よくテレビ出ちょる元気な女の人!」(島●和歌子さんらしい)


「昔アイドルやって今も女優の!」(広●涼子さんらしい)


――説明が雑だが、分かる。


「え、

 そのへんと一緒?」


なつめの素朴な疑問に、

町内は一斉にうなずく。


「同じじゃき!」


「勢いがある!」


「土佐弁が似合う!」


基準が全部あいまい。


なつめはマイクを握り、

ようやく“正式報告”をした。


「戦隊ヒロインになりました」


拍手。


「頑張ります」


拍手。


「でも、

 明日には東京戻るき」


――一瞬、静寂。


次の瞬間。


「ええええ!?」


「短い!」


「よさこい練習は!?」


「凱旋パレードは!?」


なつめ、あっさり。


「仕事あるき」


この一言で、

町内は逆に燃え上がった。


「忙しいがは一流の証拠!」


「やっぱ偉人じゃき!」


その夜。


実家で、ようやく家族だけの時間。


父がぽつりと言う。


「……ほんまに戦隊ヒロインなんやな」


なつめ、布団に転がりながら。


「うん」


母。


「危ないことないが?」


「まあ、ある」


父。


「……そうか」


それだけ言って、

父は静かにうなずいた。


翌朝。


町内はまだ祭りの続き。


なつめはスーツケースを持って出発する。


「また来るき!」


その一言で、

鳴子が鳴り響く。


高知の空に、

今日もよさこいの音が舞う。


本人の意思とは関係なく、

**神代なつめは“土佐の象徴枠”**になってしまったのだった。


本人はただ一つだけ思っている。


「……報告、

 もうちょい早うすればよかったかもしれんき」


だが、

この街に限っては――

遅すぎる報告ほど、盛大になる。

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