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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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361/464

報告する暇がなかったじゃき! ――土佐の突進娘、全国放送で正体がバレる――

戦隊ヒロインのイベント初登場。

ステージ袖で、神代なつめはいつも通りだった。


緊張?

不安?

そんなものは一切ない。


「まあ、なんとかなるろ」


その一言で、すべてを済ませる女である。


司会の合図とともに、なつめがステージ中央へ。


「どーもー!!

 高知から来ました、神代なつめやき!!」


一拍の沈黙。


次の瞬間。


ドッ!!


会場が揺れた。


「四国初の戦隊ヒロイン?

 知らん知らん!

 でも、来たき頑張るでぇ!!」


拍手。

笑い。

なぜか親指を立てるおじさん。


質問コーナー。


「特技は?」


「勢い!」


「苦手なものは?」


「考えること!」


「意気込みを一言!」


「とりあえず前に出るき!!」


――全部、土佐弁。


会場は完全に掌握された。


この様子を、

高知のローカルテレビ局が大々的に特集した。


「四国初の戦隊ヒロイン誕生!」

「土佐弁全開の新星!」


スタジオも爆笑。

テロップが追いつかない。


そして――

その放送を、

高知市の実家で見ていた人たちがいた。


「……え?」


祖父、箸を落とす。


「……今の、なつめかえ?」


祖母、テレビに近づく。


父、絶叫。


「おいおいおい!!

 あれ、うちの娘やないか!!」


母、慌てて電話を探す。


「なんで戦隊ヒロインになっちゅうがやき!?」


兄。


「ちょっと待て、

 昨日まで千葉でファミレスやっちょったやろ!?」


妹。


「姉ちゃん、

 いつ変身したが!?」


親戚一同、集結。


「なつめぇぇ!!」

「いつの間に!?」

「聞いちょらんぞ!!」


――全員、土佐弁。


さらに。


近所のおばちゃんが気づく。


「ちょっと!!

 神代さんとこのなつめちゃん、

 テレビ出ちゅう!!」


瞬く間に噂が広がり、


「なつめが戦隊ヒロイン?」

「マジで?」

「よさこい出るが?」


――町、騒然。


商店街では即席の祝賀ムード。

なぜか鳴り始める鳴子。


「なつめぇぇ!!」

「戻ってきたら踊るき!!」


――よさこい祭り並みの大騒ぎ。


一方その頃。


東京。


イベント終わりの楽屋で、

なつめのスマホが鳴り止まない。


「もしもし」


父の声、震えている。


「お前……

 戦隊ヒロインになっちゅうがか?」


なつめ、あっさり。


「うん」


母、叫ぶ。


「いつから!?」


「最近」


祖父、後ろで怒鳴る。


「報告せんか!!」


なつめ、少し考えてから一言。


「……忙しかったじゃき」


沈黙。


そして――


「そんな理由あるかぁぁ!!」


家中の声が一斉に響いた。


それでも最後に、父は言った。


「まあ……

 元気そうで何よりや」


なつめ、照れもせず。


「ほいたら、

 次の現場あるき、切るで」


――ブツッ。


こうして。


土佐の突進娘・神代なつめは、

全国と地元を同時にザワつかせるヒロインとなった。


考えない。

報告しない。

だが、結果は残す。


高知の夜空に、

今日も鳴子の音が響く。


「なつめぇぇ!!

 帰ってきたら一曲やき!!」


本人はまだ知らない。


次に帰省したら、

逃げ場がないということを。

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