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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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359/470

考える前に走れ! ──土佐の突進娘・神代なつめ、だいたいノリで採用されました──

戦隊ヒロイン界には、いろんなタイプがいる。

理知的な参謀。

癒し系。

影の調整役。


そして――

何も考えていないタイプ。


その代表格が、

神代なつめである。


神代なつめ、24歳。

高知県高知市出身。

三人兄妹の真ん中。


物心ついたときから土佐弁。

朝起きて土佐弁。

テンションが上がると音量が2倍になる土佐弁。


本人いわく、


「考えるより先に、体が動くがやき!」


というが、

正確には考えるという工程が存在しない。


高校卒業後、

なつめはある日、突然こう言った。


「東京、楽しそうやき」


以上。


目的なし。

ツテなし。

計画なし。


両親の反応は実に土佐的だった。


「腹空いたら帰ってきたらええ」


それだけ。


こうしてなつめは、

勢いだけで上京。


東京での生活は、

コンビニ、居酒屋、引っ越しバイト、イベント設営、

とにかく流れ着くまま。


気づいたら、

なぜか千葉市花見川区にいた。


「海も近いし、ええとこやん!」


理由はそれだけだった。


そこで辿り着いたのが、

館山みのりのバイト先のファミレス。


なつめは初日から飛ばした。


「いらっしゃいませぇぇ!!

 今日も元気に営業中です!!」


声がデカすぎて、

厨房の奥の皿が震えた。


気づけばなつめは、

バイトリーダー的ポジション。


指示は雑だが、

責任感だけは異様に強い。


「困ったら私呼びぃ!!

 なんとかするき!!」


※だいたい本当になんとかする。


そんななつめを、

館山みのりは冷静に見ていた。


(……この人、

 戦隊ヒロイン向きかもしれない)


理由は一つ。


場が止まらない。


こうして発動した

「お友達紹介キャンペーン」。


みのりが連れてきたなつめは、

挨拶一発で波田顧問に刺さった。


「声がデカい」

→「腹から声が出てる」

→「信用できる」


という謎ロジックで即採用。


後日。

みのりの元に届いた“粗品”。


・麗奈ちゃんプリペイドカード

・戦隊ヒロイン手ぬぐい


みのり、即座に評価。


「……ショボいですね」


だが、なぜか大爆笑。


それを聞きつけた赤嶺美月が詰め寄る。


「みのりん!!

 粗品なに!?

 教えて!!」


みのり、涼しい顔で一言。


「国家機密です」


「なんでやねん!!」


こうしてヒロイン内では、

粗品の正体が都市伝説化。


「現金説」

「クオカード説」

「干し芋説」


なつめは興味ゼロ。


「粗品?

 もろうたら使えばええがやき!」


※正論だが空気を壊す。


戦隊ヒロインとしてのなつめは、

とにかく前に出る。


考えない。

迷わない。

止まらない。


「次なにします!?

 走ります!?

 叫びます!?

 名乗ります!?」


全て同時にやる。


波田顧問の評価は一貫している。


「こういうのが一人おると、

 組織が腐らねぇ」


真帆は内心で思った。


(腐らない代わりに

 床は壊れるが)


こうして。


千葉に流れ着いた土佐の突進娘は、

戦隊ヒロインという

最も向いている場所を見つけてしまった。


考えない。

止まらない。

でも、なぜか前に進む。


――それが、

神代なつめ。


今日もどこかで、

全力土佐弁で叫んでいる。


「なんとかなるきぃぃ!!」


だいたい、

本当になんとかなっているから困る。

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