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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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350/468

お友達紹介キャンペーン、最初に来たのは地雷でした

ヒロ室の会議室に貼られた一枚の紙が、すべての始まりだった。

タイトルは手書きでこうある。


――お友達紹介キャンペーン実施中。


「……軽すぎへん?」

彩香が即座にツッコむ。


「軽く見えるくらいでいいんです」

安岡真帆は、いつもの穏やかな声で答えた。

「人は条件を見て来るんじゃない。自分を見せに来るんですから」


この人、やっぱり政治の世界の人間や、と彩香は内心で思う。


最初に手を挙げたのは、横浜市南部出身の南部沙羅だった。

自信満々で連れてきた知人は、ドアを開けた瞬間から違った。


椅子に座る前に、室内を一周見回す。

資料棚を眺めて、口を開いた。


「思ったより普通なんですね、ヒロ室」


空気が一瞬で冷える。


真帆は眉一つ動かさず、にこやかに応じた。

「はい。必要なものだけを置いています」


そこから先は、地雷原だった。


戦隊ヒロインは将来のステップ。

ルールは柔軟に対応してほしい。

チーム活動は大事だが、主役は自分。


沙羅の表情が、だんだん固まっていく。

これ、私の上位互換やん……と気づいた瞬間だった。


十分ほどで、真帆は静かに結論を告げる。


「今回はご縁がありません」


理由は一言も攻撃的ではない。

それが逆に重かった。


廊下に出た沙羅は、深く息を吐いた。


「……私、あんな感じやった?」


誰も答えなかった。


二人目は春日井市の山田真央。

「ほんまにええ子なんで!」

と連れてきた知人は、確かに無難だった。


だがこの回から、彩香が同席する。


「ほな聞くけどな」

彩香が腕を組む。

「“やる気あります”って、何する気なん?」


候補者が答える。

「ファンの方に元気を――」


「それ全員言うやつや」


真央が横で凍る。


質問を重ねるたび、

彩香の関西弁が論理の隙間を正確に刺す。


「それ逃げ道やろ」

「責任負う気ある?」

「都合ええとこだけ理想論やん」


最後に候補者が漏らした。


「戦隊ヒロインって、もっと自由かと……」


彩香、即答。


「向いてへん」


終了。


真央は深く頭を下げるが、

真帆は静かに言った。


「紹介してくれた勇気は評価しています」


だが彩香は追撃する。


「次は“ノリ良さそう”だけで連れてくんの禁止な」


真央、完全沈没。


二連続不合格。

ヒロ室に、微妙な空気が漂い始めたその時。


「じゃ、私いきます」


大宮麗奈が、さらっと手を挙げた。


連れてきたのは、千葉県流山市出身の森川美里。

キャンペーンガール仲間だという。


入室してすぐ、違いが分かった。


挨拶が自然。

姿勢がいい。

質問に対して、盛らない。


彩香が一度も口を挟まない。


真帆は数分で判断した。


「森川さん。合格です」


一同、納得。


彩香がぽつりと言う。


「……最初からこの人出してくれたらよかったのに」


麗奈は肩をすくめた。


「地雷踏まないと、正解って分からないでしょ?」


こうして始まった

お友達紹介キャンペーン。


最初に集まったのは、

地雷二発と、静かな正解一人。


真帆は手帳を閉じながら、淡々と言った。


「順調ですね」


彩香が即座に返す。


「どこがやねん」


ヒロ室の日常は、今日も平和に胃が痛かった。

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