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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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317/460

一週間で東京ば覚えた女 ― 熊本バスガイド、京葉に降り立つ

西里香澄が、熊本空港で搭乗案内を待っていたとき。

胸の中は、ワクワクよりも責任感でいっぱいだった。


「……東京、空から入るとこがもう別世界たい」


プロペラ音ではない、

ジェット機特有の低い唸り。

“仕事”で乗る飛行機ではない、

人生の節目としてのフライト。


窓側席。

離陸の瞬間、熊本の街が小さくなっていく。


「行ってきます」


誰にともなく、そう言った。


■ 羽田空港、情報量の暴力


羽田空港に到着した瞬間、

香澄は固まった。


「……空港が、もう町たい」


熊本空港の“顔が見える感じ”と違う。

通路が広い。

案内板が多い。

人の流れが止まらない。


そこへ現れたのが、

上京ヒロイン生活サポート班。


・距離感ゼロの江戸っ子ギャル 月島小春

・理路整然、千葉の叡智 館山みのり

・現実担当の 高島里奈

・フットワーク最強の 内田あかね


小春が両手を広げた。


「香澄ちゃん! 東京へようこそ!」

「まずは迷うから安心して!」


全然安心できない。


■ 船橋市、新生活開始


拠点は千葉県船橋市。

理由はみのりの即断。


「交通網、生活コスト、通勤効率」

「総合的にここが最適です」


香澄は思った。


(……説明が、観光案内より分かりやすか)


引っ越し当日、

部屋のレイアウトを巡って即カオス。


「ソファは窓側!」と小春。

「生活動線が死にます」と里奈。

「段ボールどこですかー!」とあかね。


香澄は微笑んだ。


「修学旅行の初日みたいですね」


■ 東京最大の難所:鉄道


翌日、単独行動。

香澄、即詰む。


「JR…地下鉄…私鉄…」

「同じ色で違う線は反則たい」


改札を出たら別の路線。

乗ったら終点が違う。


「……これは案内板が悪か」


だが三日目。

香澄の目が変わった。


「路線は“人の流れ”」

「時間帯で混雑は変わる」


バスガイド脳が、

東京に適応し始めた。


■ 一週間後、立場逆転


集合場所。


小春が軽く聞く。


「今日どこ行く?」


香澄、即答。


「午前は浅草」

「午後は上野」

「移動は銀座線が一番楽です」


全員、沈黙。


みのりが確認する。


「……なぜその判断を?」


「観光動線と人流です」

「熊本でも毎日考えとりました」


里奈が呟く。


「……私より詳しい」


あかねが笑う。


「私たち、案内されてますよね?」


■ 東京を“案内する側”へ


香澄はもう、

東京を“暮らす場所”ではなく

“案内できる場所”として見ていた。


「皇居は午前中」

「夕方は湾岸」

「迷う前提で動線組むと楽です」


小春、大爆笑。


「向いてるわ、香澄ちゃん!」


香澄は少し照れた。


「まだ慣れ途中ですけど」

「……嫌いじゃなかです、東京」


■ 船橋の夜、たこ焼き屋前


夜。

船橋駅前でたこ焼きを食べながら。


あかねが言う。


「東京って大変ですね」


香澄は、静かに頷いた。


「熊本とは全然違います」

「でも、案内できる場所が増えるのは楽しかです」


みのりと小春は、目を合わせて微笑んだ。


――こうして。


熊本のバスガイドは、

飛行機で上京し、

一週間で東京を覚えた。

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