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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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296/474

善意が過剰。博多スタイリスト、全方位に手を出す

浜崎莉央は、自覚のないタイプの危険人物だった。


本人はただ「気になるけん言うとるだけ」と思っている。

だがその実態は、半径30メートル以内の人間の服装を放置できない女である。


最初の犠牲者は、ヒロ室の重鎮三名だった。


波田顧問。

まさにゃん室長代理。

隼人補佐官。


この三人が並んで立っているのを見た瞬間、莉央の眉がわずかに動いた。


「……あの、すみません。

その並び、事故現場みたいになっとります」


全員が黙った。


まず波田顧問。

昭和の香りをまとったジャケットに、妙に主張の強いシャツ。


「顧問、その色合わせ、飲み屋のママに選ばれたでしょ」


図星だった。


一時間後。

波田顧問は“ちょい悪オヤジ”に変貌していた。


「おめぇさん……俺、若返ってねぇか?」


「若返っとるっちゃない。

“今の年齢を受け入れた”だけです」


次はまさにゃん。

本人が一番驚いた。


「え? 俺、ダンディ……?」


鏡の前で首を傾げるまさにゃんに、莉央は即答する。


「今までがもったいなさすぎたとです」


そして最後、隼人補佐官。


素材が良すぎる男ほど、スタイリストの腕が鳴る。

結果――磨きがかかりすぎた。


遥室長が通りかかり、足を止める。


「……隼人くん、今日どうしたの?」


「え? いや、普通ですが」


普通ではなかった。

普通にしているだけで恋愛ドラマの最終話だった。


「やりすぎました?」


「やりすぎや。

でも、ええ仕事や」


こうして莉央は、

**“ヒロ室の見た目偏差値を底上げした女”**として語り継がれる。


次の標的はヒロインたち。


私服の主張が激しすぎる美月には、短く一言。


「美月、それ“元気”が多すぎ」


「元気減らしたら、うち誰やねん!」


「三割引きでちょうど良か」


不満そうにしつつも、

美月はなぜかその通りにしてしまう。


みのり&ひかり、通称グレースフォースには――

二人まとめてデートコーデ。


「二人で並んだ時に、

“カップルです”って言わんでも伝わる服にします」


結果、本人たちは否定していたが、

周囲は完全に納得した。


だが、莉央が最も気にかけていたのは別の存在だった。


埼玉県飯能市出身。

森ガール。

萌音。


都心のお洒落な私大に通っているというのに、

服装は“山の自然と共生中”。


「萌音ちゃん……その格好、

キャンパスで保護対象になっとらん?」


「えっ、そうですか?」


そう言って笑う萌音を見て、

莉央は決意した。


「一から行こう」


そこからは早かった。


色。

形。

靴。

バッグ。


「“無難”はね、目立たん理由にしかならんと」


数日後。


キャンパスで異変が起きる。


「あれ? 萌音じゃない?」

「急にお洒落になってない?」


本人は気づいていないが、

視線の数が明らかに増えていた。


「なんか最近、話しかけられること増えて……」


「それが“服の力”たい」


莉央は満足そうに頷いた。


親切。

いや、過剰な親切。


だが誰も文句は言わない。

なぜなら――


全員、結果が出ているから。


浜崎莉央。

博多在住、善意過多。


今日もまたどこかで、

誰かの服装が静かに修正されている。

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