表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

274/474

杜の都のセルフ女王、世界制覇はまず自己紹介から

仙台という街は、ほどよく都会で、ほどよく地方だ。

新幹線も走るし、百貨店もある。

だが同時に、顔の見える距離感が残る街でもある。


佐々木玲香は、

その“ちょうどいい規模”で育った。


地元では「品のいい大学」として知られる私立大学に通う女子大生。

キャンパスでは「テレビに出てる子」としてそこそこ有名。

仙台ローカルの情報番組では、

天気のいい日は笑顔で商店街を歩き、

雨の日はカフェでケーキを食べながらコメントする――

そんな“ちょうどいい有名人”。


「仙台では、まぁ、知られてる方だと思います」


これが玲香の口癖だった。

“全国的に”とは言わない。

言わないが、言ってるような顔はする。


ローカルタレントとしての活動歴はそれなり。

だが、彼女の頭の中では、

すでに物語は次の章に進んでいた。


――全国。

――そして世界。


戦隊ヒロインプロジェクトの話を聞いたとき、

玲香は一瞬も迷わなかった。


(これ、踏み台に最適)


ヒーロー?

正義?

子どもたちの夢?


それはそれ。

大事なのは露出と名前と肩書き。


「戦隊ヒロイン出身です♡」

この一文が、どれだけ強いかを玲香はよく分かっていた。


だから東日本ヒロ室に足を踏み入れた瞬間から、

彼女の脳内では即座に“仕分け作業”が始まる。


(この人は年上、逆らわない)

(この人は穏やか、使える)

(この子は無害、踏んでも問題なし)

(この人は……リーダー、要注意)


協調か、踏み台か。

もしくは、その両方。


玲香の中に「横並び」という選択肢は存在しない。


だが、彼女は賢かった。

スタッフの前では。


遥室長には、

「勉強させていただきたいです♡」


隼人補佐官には、

「ご指導いただけるのが心強いです♡」


語尾にハートが付きそうなほどの低姿勢。

書類提出は早い。

挨拶は完璧。

スケジュール管理もきっちり。


フロント受けは、異様に良い。


「しっかりした子ですね」


スタッフの評価は概ねこれだった。


――だが。


ヒロイン側は、

なんとなく気づいている。


言葉は丁寧だが、

目が笑っていないこと。

拍手のタイミングが、

自分の評価を測るためのものであること。


そして何より、

“自分が中心でないと空気が冷える”という事実。


玲香は確かに容姿端麗だ。

都会的で、スタイリッシュ。

写真写りもいい。


だが戦隊ヒロインプロジェクトは、

容姿端麗のバーゲンセール会場である。


並べば並ぶほど、

「綺麗」だけでは埋もれる。


本人だけが、

まだそれに気づいていなかった。


(私なら、いける)

(ここで一番になれる)

(その先に、世界がある)


そんな玲香を、

東日本ヒロ室は今日も

ぬるく、穏やかに迎え入れている。


嵐が来るとも知らずに。


あるいは――

来ると分かっていて、静かに待っているのかもしれない。


杜の都からやってきた“セルフ女王”の物語は、

まだ始まったばかりだった。


そしてこの先、

彼女が本当に学ぶことになるのは――

「世界は、思ったより広くて、

 ヒロインは、思ったより手強い」という現実である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ