正義も応援も全力で!〜都市対抗野球スタンド大作戦〜
「は?ヒロインショーもやってほしいって……なにそれ、聞いてへんでぇぇぇ!!」
大学の講義が終わった放課後、美月はチアサークルの部室で思わず叫んだ。
テーブルに広げられた依頼書には、大阪市代表として都市対抗野球に出場する**大手ガス会社「関西都市ガステック」**からの正式なオファーが記されていた。
内容はこうだ。
「大学のチアリーディングチームとして、応援席でのパフォーマンスをぜひお願いします。
さらに、所属の赤嶺美月さんには、五回裏終了時のスタンドイベントとして、
“戦隊ヒロインショー”も演じていただけると幸いです。」
「な、なんでうちだけヒロインショーまで……チアとダブル出演て……これはもう“応援の二刀流”やん!」
困惑しつつも、美月は口をとがらせながら書類をめくる。
が、その端に添えられた一文が、彼女の心に火をつけた。
「なお、東京ドームの応援ステージを使用する予定です。」
「……え、東京ドームの……ステージ……」
その瞬間、表情がふわっと緩む。
「いや……でも、ちょっと、ちょっとだけ憧れてたんよな……ドームのステージで踊ってみたかったんやぁ……」
それは、幼い頃からテレビで見ていたヒーローショー、アイドルのライブ、チアの全国大会。
夢みたいな舞台で自分がヒロインとして踊るなんて、想像していなかった未来だ。
「子どもたちの前でやるってことは……やっぱり“ゆるしてにゃん”も出しとくか……うーん」
戦隊ヒロインである自分と、大学チアの自分。
その“二つの顔”が、東京ドームで交わる一日。
ちょっと大変、でも、めっちゃ楽しみ。
美月は胸の前で手をぎゅっと握りしめた。
「よっしゃ、やったろやんけ!うちが大阪市代表の華、やったるでぇぇぇ!!」
そして彼女はその場で、制服の採寸とチア衣装の荷造りを同時に始めたのだった——。




