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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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紅と藍の密命 ― 戦隊ヒロイン極秘任務録 第14話 誰も知らないはずなのに、みんなが知っている

発端は言うまでもない。

――米国大統領の、あの一言である。


「日本の勇敢な若い女性が事件解決に――」


これが報じられた瞬間、霞が関の空気は一斉に凍った。


まず外務省。


「えー……その件につきましては、

 我が省の所管ではございません」


秒で逃げた。


次に防衛省。


「いや、知らないですね。

 自衛隊は関与しておりませんし」


視線が泳ぐ。


最後に内閣府。


「事実はありません。

 存在しないものについてはコメントできません」


存在を消した。


こうして、省庁間で電話が回る。


「そちらで把握してませんか?」

「いや、そちらが先では?」

「念のためそちらで対応を…」

「いやいや、うちは“管轄外”なので…」


――たらいは高速で回り続けた。


一方、新橋のヒロ室。


空気はさらに重い。


波田顧問は腕を組み、

遥室長は無言で資料をめくり、

隼人補佐官は天井を見つめている。


「……全員」


波田顧問が低く言った。


「今からかん口令や」


誰も反論しない。


「聞かれても、知らない。

 聞いても、知らない。

 見ても、知らない。

 ――ええな?」


全員、深く頷いた。


その頃、主役の一人――美月は、

もっと直接的な地獄にいた。


大学。


「美月!

 鳥取の免許合宿どうやった?」


「え?

 あー……仮免で諦めたわ」


教室が、一瞬静まる。


「……え?」


「え、あの美月が?」


「往生際の悪さ日本代表みたいな人が?」


疑惑の視線が突き刺さる。


「いや、なんやねんその目。

 人には向き不向きがあるんや」


誰も信じていない。


チアリーディングサークルでも同じだった。


「美月先輩、合宿どうでした?」


「……仮免で諦めた」


「……………」


空気が重い。


「先輩、

 フェラーリ欲しい言うてた人が?」


「夢は夢、現実は現実や」


だが、疑惑は深まるばかりだった。


さらに悪いことに――

週刊誌が嗅ぎつけた。


キャンパス前に、怪しい人影。


サングラス、マイク、妙に馴れ馴れしい距離感。


どこかで見たことのある、

胡散臭さ全開の芸能レポーターが現れた。


「赤嶺さん!

 ちょっといいですか!」


その瞬間。


「ちょっとあんた!!

 何しとんねん!!」


東大阪の浪速のおばちゃん、乱入。


「学生捕まえて何聞いとんねん!

 あんた失礼やで!」


「いや、仕事で――」


「仕事やったらもっとマシなことせえ!

 それマイクちゃうやろ、凶器や凶器!」


完全包囲。


「ほら、美月ちゃん行き!

 こんなん相手したらアカン!」


美月はその隙に逃走。


背後で聞こえる。


「ちょ、ちょっと!」

「ちょっとちゃうわ!」

「警察呼ぶで!」


――こうして、美月は救われた。


だが理解した。


(これは……

 アカンやつや)


米国の一言は、

静かに、しかし確実に、

日本の日常を侵食し始めていた。


共有会議の結論は一つ。


「全員、知らん顔を極めろ」


それが、

この国で英雄が生き延びる、

唯一の方法だった。


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