予算と正義とヒロイン服と。
東大阪の空に、今日も正義の叫びが響く。
「お前らぁ〜っ!悪事はアカン言うたやろがぁッ!!」
ザコ敵を追い詰めるのは、皆さまの戦隊ヒロイン・レッド・フレイム=赤嶺美月。
河内弁フルスロットル、テンションMAX、そして――
「フィニッシュやっ!!ハァァァイキ――」
その瞬間――
ビリッ。
……嫌な音が響いた。
「あっ……あかん、またや……」
真紅の制服のショートパンツ部分が、派手に破けてしまった。
その場にいたザコ敵は、一瞬フリーズ。
「い、今の見んかったことにせえや!見たら命ないで!!」
と叫ぶ美月の隙を突いて、敵は逃げようとした――が。
その前に、静かに割って入ったもう一人の戦隊ヒロイン。
「お逃げになってもよろしゅうございますけど……」
美月の相棒、ブルー・インテリジェンス=西園寺綾乃が凛とした声で言い放つ。
「地べたに横になりなはれ。」
ビシィッ――!
次の瞬間、敵は地面に沈んでいた。
―後日・カフェにて―
場所はいつもの、戦闘後の定番カフェ「ミモザ珈琲店」。
制服は脱いで、私服姿のふたりがくつろいでいる。
綾乃は持参した裁縫セットを広げ、破けた制服のショートパンツ部分を器用にちくちく縫っている。
美月はストローでアイスミルクティーを吸いながら、ほっぺを膨らませてぶーぶー文句。
「なんでうちの制服、こんなすぐ破けるん!?戦隊ヒロインのくせに安もんすぎるやろ!」
「そら、うちら**“国税運営の公務ヒロイン”**どすしなぁ。予算にも限りがあるどすえ」
「“皆さまの戦隊ヒロイン”がキャッチコピーて、
ポスターにでっかく書いとるけど、せめてユ〇クロ以上の強度ほしいわ!」
綾乃は手を止めずに苦笑する。
「しゃあけど、美月さんみたいに毎回ハイキックしてたら、生地の寿命も縮まるどすえ」
「言うなぁ〜、正義のハイキックは義務教育や!うちの看板や!」
「ほな看板もメンテナンスせんとあきまへんな」
そう言って、綾乃は綺麗に補修された赤いショートパンツを掲げた。
「うおおお!職人技!うちの制服が見事に生き返っとる……!」
「次破ったら、補修じゃなくて新調どすな……国に請求書回そか?」
「せやな。予算獲得のためにも、もっと活躍して、支持率上げたらな!」
「わたしたち、ヒロインである前に“政治的予算案件”どすなぁ……」
ふたりは思わず噴き出して笑った。
こうして今日も、“皆さまの戦隊ヒロイン”は予算と制服と戦いながら、
こつこつと、地道に、悪を懲らしめていくのであった――。




