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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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紅と藍の密命 ― 戦隊ヒロイン極秘任務録  第10話 引き金の向こう側で、彼は笑った

突入は、合図もなく始まった。


爆薬が扉を吹き飛ばし、

夜と建物の境界が一瞬で消える。

白い閃光のあとに、黒い影が流れ込んだ。


米軍特殊部隊。

動きは無駄がなく、感情もない。


だが、美月と綾乃は振り向かなかった。


二人の視界にあるのは、

床に伏せる人質と、出口までの距離だけだった。


「立てる奴から行く。

 走るな。声も出すな」


美月の声は低い。

怒鳴らない。鼓舞もしない。

ただ、命令だけがそこにあった。


綾乃は一歩前に出る。

壁、角、照明、影。

頭の中で弾道を引き、逃走経路を削り出す。


「右奥。今は空いとる。

 十秒で詰まる。急ぎ」


銃声が鳴る。

コンクリートが砕け、粉塵が舞う。


人質が立ち上がる。

足が震え、呼吸が乱れる。


その時だった。


通路の先、影の中から銃口が現れた。


距離は近い。

遮蔽物はない。


美月が踏み出しかけた瞬間、

誰かが視界を横切った。


——ルイス。


彼は迷わず前に出た。


躊躇はなかった。

引き金は軽かった。


一発。

男が倒れる。


だが、同時に別の銃声が重なった。


鈍い音。


ルイスの体が跳ね、壁に叩きつけられる。


それでも、彼は倒れなかった。


片膝をつき、銃を握り直す。

呼吸は荒いが、目は死んでいない。


美月の喉が、詰まる。


「……行け」


ルイスが言った。


短い。

それだけで十分だった。


綾乃が美月の腕を掴む。


「今は、行く時どす」


二人は人質を押し出す。

一歩、また一歩。


背後で銃声が続く。


ルイスは立っていた。

撃って、下がって、また撃つ。


彼は敵を倒すために撃っていない。

時間を稼ぐために撃っていた。


それが分かるから、美月は振り返らなかった。


振り返れば、全てが止まる。


出口が見える。

光が差し込む。


だが、その直前。

側面の壁が砕け、別の影が現れる。


銃口が、こちらを向く。


距離が近すぎる。


——終わった。


そう思った瞬間、

背後から最後の銃声が鳴った。


敵が崩れ落ちる。


その銃声のあと、

それ以上、何も聞こえなかった。


美月は、前を向いたまま言う。


「……行こ」


声は、揺れなかった。


二人は人質を外へ出す。

安全圏。

負傷者なし。


作戦は、まだ続いている。


綾乃が低く呟く。


「……彼の名前」


「ルイスや」


美月はそれだけ答えた。


感情を口にすれば、

この場では邪魔になる。


遠くで、

新しい銃声が響いた。


そして、

不自然なほど静かな足音が近づいてくる。


二人は顔を上げる。


——まだ、幕は下りない。


闇の向こうで、

別の役者が、出番を待っていた。

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